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[III-CSY4-4]研究課題A:先天性門脈体循環シャントにおける治療法の確立と遺伝学的要因の解明

松岡 良平, 永田 弾 (九州大学医学部小児科)
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キーワード:

肺高血圧、遺伝子解析、血管奇形

【背景と目的】先天性門脈体循環シャント(CPSS)は門脈系-静脈系にシャントを有する血管奇形の一つである。先天性心疾患や精神発達遅滞を含む他臓器の合併症が多いことも特徴的であり、その成因には遺伝的な背景がある事が想定されるが現在のところ不明である。また、CPSSは非常にまれな疾患であるため、高いエビデンスレベルに基づいた治療管理方針は存在しない。本研究の目的は、1) 全国的な疫学調査によってCPSSの臨床像を明らかにし、その適切な治療管理法を確立すること、並びに、2 ) CPSSに共通する遺伝子変異を同定することである。【方法】1) 全国調査は九州大学REDCapを使用して対象患者の臨床情報を取得する。2) 当院で管理中のCPSS患者及びその家族に対して、全エクソーム解析による網羅的遺伝子解析を行う。【結果】1) 対象症例数は120症例。CPSSに対する治療は74例に閉鎖治療、9例に肝移植が行われ、37例は未治療または治療不可だった。治療による可逆性が得られる患者の特徴について解析中である。2) 15例への全エクソーム解析は終了しており、表現型と遺伝子変異の関連について解析中である。【今後の方針】1)2) とも2025度に解析・論文化による公表を行うことを目標とする。