講演情報

[III-CSY4-7]研究課題B:先天性心疾患患者のRSV感染予防に関する研究

山岸 敬幸 (東京都立小児総合医療センター)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

シナジス、ベイフォータス、抗RSウイルス抗体薬

RSウイルスは乳幼児における肺炎、細気管支炎の主な原因であり、炎症が下気道に波及すると重症化することが知られている。先天性心疾患(congenital heart disease: CHD)を有する患児は重篤化リスクが高いことから、積極的な重症化抑制が求められる。しかし、抗RSウイルス抗体薬の投与には、医学的要素に社会的要素が加わり、判断が困難な場合も少なくない。そのような中、CHD児におけるRSウイルス感染症の重症化抑制は、新たな時代に突入した。1シーズンにつき1回投与のプレフィルドシリンジ製剤であるベイフォータスRが登場したことで、患児と家族および医療従事者の負担が軽減された。抗RSウイルス抗体薬の投与の判断には、関連する学会の専門家によって統括された日本小児科学会のコンセンサスガイドラインを参考にして、各地域で相談して足並みを揃え、症例によっては個別に検討することも重要である。今後、新たなRSウイルス感染症の重症化抑制に関するエビデンスの集積とともに、“All Infant”ならびに“通年性”を含めて、抗RSウイルス抗体薬の投与計画の標準化が求められる。