講演情報
[III-CSY4-8]川崎病患者の難治例を予知するバイオマーカーの開発(最終報告)
○吉兼 由佳子1, 深澤 隆治2, 渡邉 誠3, 今中(吉田) 恭子4 (1.福岡大学 医学部 小児科, 2.福寿会病院 小児科, 3.日本医科大学 医学部 小児科, 4.三重大学 医学系研究科 修正再生病理学)
キーワード:
川崎病、バイオマーカー、ペントラキシン3
【背景】難治性川崎病(KD)は冠動脈病変(CAL)のリスクとなる。現在日本で使用している免疫グロブリン療法(IVIG)不応例予測スコアは他国では通用しない。【目的】難治性KDを予測する万国共通のバイオマーカーを選定し、予測診断キット作成のためのカットオフ値を決定する。【方法】システマティック・レビューとパイロットスタディにて選定した3つのバイオマーカー、ペントラキシン 3 (PTX3)、プロカルシトニン (PCT) および テネイシン C (TN-C)について、2017年9月から2023年12月に、国内49施設で前向き観察研究を実施した。難治群(n=50);3rd line以上の追加治療を必要とした不応例、非難治群(n=1260);難治群以外、に分類し、初期治療前の各バイオマーカーを測定し比較した。ROC曲線下面積 (AUC) が最も高かったバイオマーカーでカットオフ値を求めた。【結果】全てのバイオマーカー測定値で難治群が非難治群よりも有意に高値だった (p<0.01)。それぞれの中央値[四分位]とAUCは、PTX3; 44.6 [32.3-67.9] vs 12.2 [6.9-26.9]ng/ml、AUC=0.83、PCT; 4.3 [1.9-7.8] vs 0.6 [0.2-1.9]ng/ml、AUC=0.81、TN-C; 182 [122-222] vs 123 [94-163]ng/ml、AUC=0.71。AUCが最も高いPTX3のカットオフ値は31.7ng/mlで、感度80%、特異度82%で難治例を予測できた。【考察】PTX3が難治性KD症例を予測するバイオマーカーとして適しており、現在PTX3値を用いた難治例予測診断キットを開発し世界での応用を目指している。