講演情報

[III-CSY4-9]小児循環器領域における人工知能の応用:胸部レントゲンと12誘導心電図:学校心臓検診における AI応用とそのデジタル基盤整備

三谷 義英1, 鳥羽 修平2, 大橋 啓之1, 澤田 博文1 (1.三重大学大学院医学系研究科小児科学, 2.三重大学大学院医学系研究科胸部心臓血管外科学)
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キーワード:

学校心臓検診、心電図、人工知能

【背景】最近、人工知能(AI)が胸部X線写真から肺体血流比を予測できることを報告(JAMA Cardiol 2020)し、2025年3月に12誘導心電図(ECG)判読について、信号処理とAIの融合により自動判読アルゴリズムを報告(Front Cardiovasc Med 2025)した。本講演では、(1)開発したECGのAI判読システムと(2)学校心臓検診ECGの全国共同研究に向けての体制整備について委員会企画の最終報告を行う。【方法】(1) ECGデータ収集アプリを用いて、ECGの波形データの学習及び評価を行った。患者の年齢、性別、ECGの波形データ(MFER形式)、自動診断結果を収集した。ECGの波形は、ガイドラインに基づいて専門医が判定した。データを学習用データ(約80%)、評価用データ(約20%)の2群に分け、学習用データを用いてAIの学習を行い、評価用データを用いて診断能を評価した。(2)全国のECG検診のデジタル化の状況について、修練施設の調査研究、提案、行政の動向について報告する。【結果】(1)対象は 1842の12誘導ECGで,年齢中央値 10.8 歳±3.7,男児 54%であった。519 件(28%)のECGが異常を有した。Test 群のECG 310 件のうち 84 件(27%)が異常を有した。異常の有無の診断について、本モデルの accuracy は 83%で、従来の自動判読によるもの(57%)よりも有意に高かった(P<.001, McNemar)(Front Cardiovasc Med 2024)。(2)問診事項、ECGのデジタル判読の実施地区は限定的であり、今後のデジタル化の提言と行政の動向を考察した。【結語】AI-ECGの初期モデルを報告した。診断率向上に向けて、全国のデジタルECGの共同研究に向けての新たな体制整備が必要である。