講演情報

[III-CSY5-4]ゼロからの心血管修復パッチの開発

根本 慎太郎 (大阪医科薬科大学 医学部 外科学講座胸部外科学)
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キーワード:

医療機器開発、産学コンソーシアム、治験

2023年1月23日に製造販売承認申請された先駆け審査指定医療機器(指定番号:先駆審査(29機)第1号)の医療機器先駆け総合評価相談実施品目指定のクラスIV高度管理医療機器“[類別]機械器具7内蔵機能代用器、[一般名称]合成心筋パッチ(後に当局が“合成心血管パッチ”に改称)、[販売名]シンフォリウム、[申請者]帝人メディカルテクノロジー“は、同年7月11日に承認された(承認番号:30500BZX00169000)。2024年3月1日には“区分C1(新機能)”区分で保険適用が収載された(原価計算方式算定、先駆加算10%)。同年6月12日に上市され、現在本学会と日本小児心臓外科医会の支援を受け市販後調査の最中である。産学コンソーシアム(福井経編興業、帝人、旧大阪医科大学)での本格的開発となったのは2014年医工連携事業化推進事業(旧経済産業省、現AMED)の補助金獲得が契機であり、医療現場に届くまでにおおよそ10年の歳月を必要とした。山場である治験プロトコール設定と実施では本学会保険診療・臨床試験エリアの支援を受けた。産学ばかりでなくPMDA医療機器審査第一部、厚生労働省医薬産業振興・医療情報企画課および保健局医療課からの官の指導と支援を受けた。この実用化開発において、Academic Surgeonとして如何に、どれぐらい関わるかの自問が続いた。治験に至るまでの非臨床データ収集、ユーザー&インベンター目線からの治験計画と実施(通常の臨床研究とは全く別物)、規制当局への説明と協力要請、そして製造販売承認申請と保険償還価格交渉に積極的参加し、様々なプレイヤーのハブになることに努めた。一大学教員が協力企業と共に熱意と狂喜で進んできた奇跡を提示し、医療機器開発を目指す学会員に「大変だけど、遣り甲斐があって、面白いよ」と「まだまだこれから」を共有したい。小説とは違ったノンフィクション!