講演情報
[III-CSY5-5]セレキシパグの小児治験から薬事承認まで
○清水 雄斗, 塩田 直樹, 田中 慎一, 平石 千紘, 山本 千恵子 (日本新薬株式会社 研究開発本部 開発統括部 臨床開発部)
キーワード:
セレキシパグ、肺動脈性肺高血圧症、プロスタサイクリン受容体アゴニスト
【背景】本邦では3系統の肺血管拡張薬が小児肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬として承認されているが、経口剤が存在しないのはプロスタサイクリン(PGI2)製剤のみである。セレキシパグは成人PAH患者に対して適応を有する経口のPGI2受容体作動薬であるため、一部の小児PAH患者に適応外で使用されている。適応外使用やドラッグラグ解消のためには小児PAH患者に対する早期承認が必要だが、既に適応外で使用されていること及び小児PAH患者数が極めて少ないことから、製薬企業単独での臨床試験は困難と考えられた。そこで、日本小児循環器学会(以下、学会)と協働して臨床試験を実施した。【目的】学会による治験推進活動を活用し、迅速な患者組入れ及び早期承認取得を実現させる。【方法】治験開始前から学会と協働し、試験計画の立案や患者数アンケート調査、目標症例数を含む実施可能な試験計画について医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議した。治験開始後には学会員への患者紹介依頼、試験結果取得後には承認取得、論文作成までを学会と協働で実施した。【結果】PMDAとの協議の末、目標症例数6例で合意した。患者組入れは予定していた症例登録期間2年で完了した。主要評価項目である肺血管抵抗係数はPMDAと事前に合意した成功基準を上回る改善効果が認められ、安全性はPGI2受容体作動薬に特徴的な副作用が主で、成人のプロファイルと類似していた。2024年12月に小児PAH患者に対する適応を取得し、試験結果は2024年11月にCirculation Journalに受理された。【考察】学会との密な連携、臨床現場の実情の伝達が目標症例数設定を含む実施可能な試験計画の合意につながった。学会員への患者紹介依頼をはじめとした学会を活用した組入れ促進策が有効であった。【結論】学会との協働により、迅速な患者組入れ及び早期承認取得を実現できた。