講演情報
[III-OR29-04]小児の心筋症におけるMYH7遺伝子の病的バリアントの臨床的および遺伝的意義
○坪井 香緒里, 寳田 真也, 岡部 真子, 仲岡 英幸, 伊吹 圭二郎, 小澤 綾佳, 廣野 恵一 (富山大学 医学部 小児科)
キーワード:
MYH7、心筋症、次世代シーケンサー
【背景】MYH7遺伝子はβミオシン重鎖をコードし、アクチンと相互作用し心筋収縮に働く。MYH7遺伝子変異は心筋緻密化障害(LVNC)や拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCM)の関連遺伝子として報告されているが、その臨床像や遺伝学的背景については明らかではない。【目的】小児の心筋症におけるMYH7遺伝子の病的バリアントの臨床的および遺伝的意義を明らかにする。【対象と方法】2003年~2024年に登録された胎児・小児の心筋症患者を対象とし、心筋症関連遺伝子のパネル解析を行った。そのうち、MYH7遺伝子の病的バリアントが見いだされた症例について、LVNC、DCM、HCMでの臨床像ならびに遺伝学的背景について後方視的に検討を行った。【結果】症例の内訳はLVNC群(n=33)、DCM群(n=6)、HCM群(n=19)であった。LVNC群の中での内訳は正常型(n=4)、DCM型(n=13)、HCM型(n=2)、CHD型(n=14)、不整脈型(n=0)であった。LVNC群は胎児期~乳児期での発症が多く〔発症時1歳未満の割合:LVNC群=25例(84.8%)、DCM群=4例(66.7%)、HCM群=3例(15.8%)〕、乳児期に心不全を呈する割合がDCMと同様に高い〔乳児期心不全の割合:LVNC群=23例(69.7%)、DCM群=4例(66.7%)、HCM群=0例(0%)〕傾向にあった。LVNC群の中でもDCM型では13例全てが1歳未満に発症し、心不全を呈していた。観察期間中の心血管イベント(塞栓症、致死性不整脈、心臓移植、死亡)は、LVNC群=4例(12%)、DCM群=1例(16.6%)HCM群で1例(10.5%)存在した。MYH7の病的バリアントの部位はLVNC群ではSub fragment1に局在が見られ、HCM群ではLight Meromyosinに集積していた。【結論】心筋症ごとに病的バリアントの集積が局在し、発症年齢も異なることが明らかとなった。