講演情報
[III-OR30-03]Total Cavo-Pulmonary Connection術後循環における非侵襲的静脈血流波形解析の有用性
○齊藤 央1, 加藤 昭生2, 池川 健2, 若宮 卓也2, 小野 晋2, 柳 貞光2, 上田 秀明2 (1.神奈川県立こども医療センター 検査科, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器内科)
キーワード:
Fontan、TCPC、Venosus blood flow
【目的】Total Cavo-Pulmonary Connection (TCPC)術後循環では, 中心静脈圧の上昇から臓器うっ血が生じやすい. 先天性心疾患を有さない患者群では静脈血流パターンが臓器うっ血の評価に用いられているが, TCPC術後ではその有用性が明らかでない. 本研究の目的は, TCPC循環における静脈血流指標と血行動態指標および臓器マーカーの関連性を検討することとした.
【方法】心臓カテーテル検査による心内圧測定が施行されたTCPC術後患者のうち, 超音波検査で静脈血流波形が得られた34例を対象とした. 静脈血流波形は下大静脈(IVC), 肝静脈(HpV), 門脈(PoV), 腎静脈(ReV)のそれぞれからパルスドプラ法で検出された. 各静脈血流波形から吸気時および呼気時の血流速度と呼吸性変動率(RC)を算出した. また1心周期における最大(Vmax)および最低(Vmin)血流速を計測し, それらを用いて拍動指数(PI)を算出した. 血流量の指標として, 平均時間速度積分値(mean VTI)を算出して用いた. 各指標と心内圧測定値および血液検査項目を比較した.
【結果】対象は平均年齢14.0歳 (男性: 74%)であった. 5例(15%)で腹水を認め, 腹水あり群はなし群よりも, 導管内圧および平均肺動脈圧 (MPAP), 肺動脈楔入圧(PAWP), 心室拡張末期圧のいずれもが高値であった. また腹水あり群では, ReVのVminおよびPIが高値であった. MPAPとPAWPは, ReVおよびPoVのVmin, PIとそれぞれで正の関連性が示唆されたが, IVCとHpVの指標は関連性が認められなかった. 一方. PoVおよびIVC血流のmean VTIは4型コラーゲン7Sと負に関連していた. ReV-mean VTIの減少は推定糸球体ろ過率を減少させる傾向を認めた.
【結論】TCPC循環において、腹水の有無や腎静脈および門脈血流のVminとPIは心内圧推定に有用な可能性が示唆された. また門脈血流量の減少は肝線維化を, 腎静脈血流量の減少は腎機能悪化の推定に役立つ可能性が示唆された.
【方法】心臓カテーテル検査による心内圧測定が施行されたTCPC術後患者のうち, 超音波検査で静脈血流波形が得られた34例を対象とした. 静脈血流波形は下大静脈(IVC), 肝静脈(HpV), 門脈(PoV), 腎静脈(ReV)のそれぞれからパルスドプラ法で検出された. 各静脈血流波形から吸気時および呼気時の血流速度と呼吸性変動率(RC)を算出した. また1心周期における最大(Vmax)および最低(Vmin)血流速を計測し, それらを用いて拍動指数(PI)を算出した. 血流量の指標として, 平均時間速度積分値(mean VTI)を算出して用いた. 各指標と心内圧測定値および血液検査項目を比較した.
【結果】対象は平均年齢14.0歳 (男性: 74%)であった. 5例(15%)で腹水を認め, 腹水あり群はなし群よりも, 導管内圧および平均肺動脈圧 (MPAP), 肺動脈楔入圧(PAWP), 心室拡張末期圧のいずれもが高値であった. また腹水あり群では, ReVのVminおよびPIが高値であった. MPAPとPAWPは, ReVおよびPoVのVmin, PIとそれぞれで正の関連性が示唆されたが, IVCとHpVの指標は関連性が認められなかった. 一方. PoVおよびIVC血流のmean VTIは4型コラーゲン7Sと負に関連していた. ReV-mean VTIの減少は推定糸球体ろ過率を減少させる傾向を認めた.
【結論】TCPC循環において、腹水の有無や腎静脈および門脈血流のVminとPIは心内圧推定に有用な可能性が示唆された. また門脈血流量の減少は肝線維化を, 腎静脈血流量の減少は腎機能悪化の推定に役立つ可能性が示唆された.