講演情報
[III-OR30-04]血栓形性能解析システム(Total Thrombus-Formation Analysis System)による小児フォンタン術後患者に対する抗血栓療法効果の検討
○松尾 倫, 坂口 哲矢, 服部 裕介, 宮村 文弥 (熊本大学病院小児科)
キーワード:
T-TAS、フォンタン術後、抗凝固療法
背景:Total Thrombus-Formation Analysis System(T-TAS)は病的血管を模した血流下における血栓形成過程を定量的に解析できるシステムである。T-TASの有用性は冠動脈疾患患者の抗血小板療法や心房細動患者の抗凝固療法おいて報告がなされている。フォンタン術後患者に対する至適抗血栓療法の確立には新たな評価基準の開発が望まれる。目的:フォンタン術後患者に対する抗血栓療法(アスピリン、ワーファリン)の効果判定にT-TASが有用であるかを検討した。方法:本研究に同意の得られた心臓カテーテル検査を実施した小児フォンタン患者20人:年齢中央値(四分位範囲)7.9(6.5,9.0)、カテーテル検査前より抗血栓療法を中止とし投薬なしの状態(F-0)でのT-TAS値を測定した。その後アスピリン再開時(F-A)、ワーファリン併用時(F-AW)のT-TAS値を測定し比較検討を行った。また抗血栓療法によるT-TAS値の変化の度合いに影響する因子の検討を行った。結果:F-0とF-Aの比較において血小板血栓形成指標であるPL値にて有意な低下が認められた[PL-AUC169 (95%CI 125ー214) vs 352 (95%CI 327ー376); P <0.001]。F-0とF-AWの比較においてフィブリン血栓形成指標であるAR値にて有意な低下が認められた[1167 (95%CI 1110ー1225) vs 1252 (95%CI1196ー1307); P <0.001]。CVP medianにてCVP<9mmHg(n=9), CVP ≧9mmHg(n=11)の二群に分けた検討にてAR-AUCの変化度合いに有意な差が認められた。結論:T-TASは抗血小板・抗凝固薬の効果モニタリングが可能であり、AR-AUCは抗凝固療法効果への血行動態の影響を反映し得る可能性が示された。