講演情報
[III-OR31-01]Yasui手術の遠隔成績の検討
○梅津 健太郎1, 戸石 崚1, 伊藤 貴弘1, 腰山 宏1, 萩野 生男1, 青木 満2 (1.千葉県こども病院 心臓血管外科, 2.千葉市立海浜病院 心臓血管外科)
キーワード:
Yasui手術、遠隔成績、再手術
【目的】適切な心室容積と心室間交通を有するarch anomalyおよび体心室流出路狭窄合併症例に対して、Yasui手術は有用な2心室修復である。今回、当施設でのYasui手術の成績について後方視的に検討した。【方法】2004年から2024年までに、当院で行なったYasui手術13例を対象とした。IAA(B) 10例、CoA 3例。全例AS+/-SASで、DORV合併 2例。VSDはperimembranous 9例、infundibular 4例。primary repair(PR) 8例、staged repair(SR) 5例。SRの2例は初回手術時体重が2kg以下のためbilateral PA bandingを先行しYasuiへ、残り3例はNorwood手術先行後にYasuiとなった。【結果】Yasui手術時平均日齢、体重はPR群で13日、2.7kg、SR群で360日、6.1kg。arch repairは全例でNorwood型手術。VSD拡大は10例に行ない、術後AV blockを認めた症例はなし。肺血流路はvalved conduit10例で、3例はLecompte maneuver+transannular patchとした。術後急性期死亡なし。遠隔期死亡2例(Yasui後1.5年で心不全急性増悪、Yasui後7年で敗血症)。再手術は8例、10手術、15術式。術式内訳はLVOTOに対する介入4、RVOTOに対する介入(conduit交換・肺動脈狭窄に対する術式)6、その他としてnative aortic valve成長およびVSD狭小化に対するtakedown to ICR 2、neo-AVR 1、上行大動脈縫縮術1、VSD遺残短絡閉鎖1。術後遠隔期エコーでのLVOTでの平均peak velocity 1m/s、LVEF 54%。Neo-ARはtrivial 4例で、mild以上認める症例はなし(neo-AVR1例は除く)。【結論】Yasui手術の成績は急性期死亡もなく、良好であった。一方で、再手術を要する症例を多く認めた。特に、体心室流出路狭窄発生・再発に関しては、Yasui時にVSD拡大を行なっても、完全に回避することは困難と考えられ、Ross-Konno+arch repairなど別の術式の検討を要する。Yasui手術後にnative aortic valveの成長を認める症例もあり、その場合はconventional ICRへのtakedownも選択肢の一つとなりうる。