講演情報
[III-OR33-02]当科で経験したフレカイニドが有効であったAndersen-Tawil症候群3例の検討
○木村 寛太郎, 福永 英生, 高橋 誉弘, 赤塚 祐介, 佐藤 浩之, 加護 祐久, 原田 真菜, 松井 こと子, 稀代 雅彦, 東海林 宏道 (順天堂大学医学部小児科)
キーワード:
Andersen-Tawil症候群、KCNJ2遺伝子、フレカイニド
【背景・目的】Andersen-Tawil症候群(ATS)は先天性QT延長症候群7型に分類され、心室性不整脈、周期性四肢麻痺、外表小奇形を三徴とする稀な遺伝性疾患である。成人ATSの心室性不整脈に対するフレカイニド(FA)の有効性を示す報告は散見されるが、小児に対する検討は少ないため報告する。【症例】(症例1)15歳女子。中学1年時の検診でPVCを指摘され、同時期より両下肢の脱力感を自覚することがあった。心電図は安静時に二方向性PVC、運動負荷でNSVTを認めた。β遮断薬、ベラパミルは効果なく、trigger PVC抑制のためカテーテルアブレーションを行うも根治しなかった。術中FA投与試験は有効であり内服開始したところVTは消失した。その後KCNJ2遺伝子変異が判明しATSと診断した。FAのみでPVC/VTは抑制され、周期性四肢麻痺症状も抑制された。(症例2)14歳女子。中学1年時の検診で単形性PVC、中学3年時に多源性PVCを指摘された。心電図は安静時に二方向性PVC、運動負荷でNSVTがあり遺伝学的検査を実施したところ、KCNJ2遺伝子変異を認めATSと診断した。FAとβ遮断薬でPVC/VTは抑制された。(症例3)53歳女性、症例2の母。小児期よりPVCの指摘があり動悸を自覚していた。安静時心電図でPVC二段脈があり、症例2を発端者として行った遺伝学的検査で同一の変異を認め、ATSと診断した。FAのみでPVCは消失した。全症例においてFA開始後のQT延長などの有害事象は認めなかった。【考察】KCNJ2遺伝子は内向き整流性カリウム電流(Ikr)を司るイオンチャネルをコードし、ATSでは約半数に変異を認める。KCNJ2遺伝子変異を認めた上記3例はFAが奏効し、有害事象や不整脈イベントなく管理可能となった。【結語】KCNJ2遺伝子変異を有するATSでは、小児においてもFAは有効である。