講演情報
[III-OR33-03]KCNQ1 の病的バリアント により徐脈傾向を呈する0歳児の特徴
○大野 聖子1,2, 加藤 浩一2 (1.国立循環器病研究センター メディカルゲノムセンター, 2.滋賀医科大学 循環器内科)
キーワード:
KCNQ1、バリアント、徐脈
【背景】KCNQ1の機能喪失型 (LOF) バリアントは先天性QT延長症候群 (LQTS) 1型 (LQT1) の原因となり、機能獲得型 (GOF) バリアントは先天性QT短縮症候群2型 (SQT2) や家族性心房細動の原因となる。ただKCNQ1のバリアントを保持している乳児では徐脈を呈することが多いものの、その特徴は明らかにされていない。【目的】KCNQ1 の病的バリアントを保持する0歳児の特徴を明らかにする。【方法と結果】対象は、KCNQ1 の病的バリアントが同定され、0歳時の心電図記録がある24人(男児12人)。LQTSの原因となるLOFバリアントを20名が、4名がGOFバリアントを保持していた。心電図記録時の日齢は63 (2.75-85.5) 日。LOFバリアント保持者で、血縁者でLQTSが指摘されていなかった患児は1人 (5%) のみであった。一方、GOFバリアント保持者では家族解析1人をのぞく3人全員で遺伝性不整脈の家族歴は指摘されていなかった。LOFバリアントを保持している28日齢未満の新生児13人の心電図では、心拍数111±19拍/分、QTc (Bazett) 509±62msであり、QTの延長に加え、徐脈傾向を示していた。28日齢以上の7人では、心拍数130±17拍/分、QTc (Bazett) 485±58msであり、QT延長はあるものの、心拍数はほぼ正常化していた。GOFバリアント保持者では、日齢0で記録された1人の心拍数は103拍/分、28日齢以上の3人でも84±20拍/分と徐脈傾向を示していた。【結語】KCNQ1の病的バリアントを保持する乳児では徐脈傾向を示し、LOFバリアント保持者では成長とともに徐脈傾向は改善する。一方、GOFバリアント保持者では家族歴が明らかでない場合が多く、徐脈も持続する。乳児期徐脈に対する遺伝学的検査で病的バリアントを同定することは、その後の管理において重要である。