講演情報
[III-OR33-04]先天性QT延長症候群で病原性未登録の遺伝子変異が検出された時の対応について
○高橋 努 (済生会宇都宮病院小児科)
キーワード:
QT延長症候群、病原性未登録、ACMGガイドライン
【背景】QT延長症候群(LQT)の遺伝子検査で病原性未登録の遺伝子変異が検出されることは稀ではなく、ACMGガイドラインの病原性に関する基準(PM、PPなど)でスコア化して評価する。【目的】遺伝専門医に適宜相談し、小児循環器医が最終診断した症例を紹介する。【対象】病原性未登録の遺伝子変異が検出された9例。以下、代表的な5例を示す。【症例1】19歳女性。Schwartz4点。KCNQ1のミスセンス変異で“not provided”。ACMGでPM1+PM2+PM5+PP3+PP4を満たし、LQT1の“likely pathogenic”と診断。プロプラノロール開始。【症例2】16歳男性。Schwartz6点。KCNH2のミスセンス変異で“uncertain significance”。ACMGでPM1+PM2+PP1+PP3+PP4を満たし、LQT2の“likely pathogenic”と診断。ナドロール開始。【症例3】12歳女性。Schwartz2点(ストレスに伴う失神)。SCN5Aのミスセンス変異で“uncertain significance”。ACMGでPS1+PS2+PM1+PM5+PP3+PP4を満たし、LQT3の“pathogenic”と診断。S-ICDにプロプラノロールとメキシレチン併用。【症例4】13歳女性。Schwartz1点。KCNQ1のsynonymous変異で“benign”。ACMGで満たすものはなく、“benign”の判定。経過観察のみ。【症例5】18歳女性。Schwartz3点。KCNH2のミスセンス変異で“not provided”。ACMGでBP4のみで、”uncertain significance”と診断。経過観察継続。【考察】9人中7人にLQTの診断をし、治療を開始した。ACMGの基準の項目は臨床判断による所も大きく、遺伝専門医に一任するのではなく、まず小児循環器医が判定する姿勢が大切である。機能解析等は遺伝専門医にコンサルトすることで、より正確なスコア化ができる。Schwartzのリスクスコアも最終診断と相関しており有用である。