講演情報
[III-OR34-01]先天性心疾患術後に頚部アプローチによる体外式膜型人工肺管理を行った症例の臨床像の検討
○金谷 知潤1, 谷本 和紀1, 手繰 優太1, 宇多 祐介1, 森 雅啓2, 松尾 久実代2, 浅田 大2, 石井 陽一郎2, 青木 寿明2, 清水 義之3, 津村 早苗1 (1.大阪母子医療センター 心臓血管外科, 2.大阪母子医療センター 循環器科, 3.大阪母子医療センター 集中治療科)
キーワード:
ECMO、先天性心疾患、頚部
【背景】先天性心疾患術後の体外式膜型人工肺(ECMO)は、通常central ECMOで管理されるが、呼吸不全や感染などを理由に頚部ECMOが選択されることがある。しかし、これらの症例に関する臨床像の詳細は明らかでない。【目的】先天性心疾患術後のECMO管理において、頚部ECMOを施行した症例の臨床経過、合併症、および転帰を明らかにすること。【方法】対象は2015年から2024年の間で、先天性心疾患の周術期にECMO管理を要した37例のうち、central ECMOから頚部ECMOへ移行した5例。年齢の中央値は238(0-1611)日。対象疾患は、左心低形成症候群、大動脈離断複合、総肺静脈還流異常、純型肺動脈閉鎖、肺動脈閉鎖/心室中隔欠損が各1例。ECMO装着期間は30(5-68)日、頚部ECMOへの移行はcentral ECMO開始後8(0-20)日で行われた。VA-ECMOが4例、VV-ECMOが1例。頚部ECMOの適応理由、臨床経過、合併症、転帰を検討した。【結果】5例中、ECMO管理中の死亡は2例(40%)、ECMO離脱に成功したのは3例(60%)であった。離脱した3例のうち1例は、離脱5ヶ月後に低心拍出症候群で死亡した。頚部ECMOの適応理由は、長期ECMO管理に伴う感染予防および肺理学療法目的が2例、肺出血による低酸素血症が1例、肺静脈狭窄解除後の低酸素血症が1例、central ECMO離脱後3日目のSpO2低下(後に左肺動脈閉塞が判明)が1例であった。合併症に関して、2例で複数回の縦隔血腫除去を要したが、明らかな縦隔感染は認めなかった。離脱に成功した3例は、それぞれ5、6、30日間の頚部ECMO管理を要したが、その間、腹臥位による肺理学療法を積極的に実施し、ECMO離脱可能であった。【まとめ】Central ECMOから頚部ECMOに移行した症例は重症度が高く、長期ECMO管理を見据えた縦隔炎予防や肺理学療法を目的として頚部ECMOが施行されるケースが多かった。一方で、頚部ECMO下での積極的な肺理学療法により、短期間でのECMO離脱が可能であった症例も認められた。