講演情報

[III-OR34-03]当院における人工心肺を使用した先天性心疾患術後症例の接合部頻拍・接合部調律のリスク因子の検討

藤崎 拓也1, 祖父江 俊樹1, 川村 篤1, 権守 延寿1, 青木 寿明2, 津村 早苗3, 清水 義之1 (1.大阪母子医療センター 集中治療科, 2.大阪母子医療センター 循環器科, 3.大阪母子医療センター 心臓血管外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

PICU、JET、JR

【背景】術後の接合部頻拍(JET)は先天性心疾患術後急性期の不整脈としては頻度が高く、治療抵抗性もあることから術後急性期死亡の一因となりうる。また、房室接合部調律(JR)も心室流入障害および心拍出量の低下から介入を要することを経験する。【目的】当院における術後JETおよびJRの発生頻度・介入方法を検討し、リスク因子の解析を目的とした。【対象と方法】2024年1月から12月の1年間に当院で人工心肺使用下に手術が施行され、術後PICUに入室となった症例を対象とした。術後JET、JRを認めたA群、認めなかったC群に分類し、患者背景と術後経過について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】期間中に114例の手術が施行され、A群は9例(JET4例(3.5%)、JR5例(4.4%))であった。年齢、性別、体表面積には両群間で有意差を認めなかったが、心外合併症はA群で有意に多かった(p=0.049)。麻酔時間、手術時間では有意差は認めなかったものの、人工心肺時間、大動脈遮断時間はA群で有意に長かった(p=0.02,<0.001)。心室中隔欠損(VSD)の閉鎖を行った手術についても有意差は認めなかった。PICU入室時のカテコラミン使用量や人工呼吸期間、PICU滞在日数に両群間で有意差は認めなかった。A群のうち5例が手術当日に不整脈を発症し、発症期間の中央値は4日であった。治療介入としては、A群のうち8例(89%)でペーシングを行い、JETの4例全例に抗不整脈薬を使用した。A群で周術期死亡例は認めなかった。【考察・結論】JET、JR共に自動能の亢進によって生じ、特にJETにおいてはVSD閉鎖を行う術後に多いとされている。また、長い体外循環時間や高カテコラミン使用などもリスク因子といわれている。今回の検討では、人工心肺時間、大動脈遮断時間がリスク因子になりえることが示唆された。