講演情報

[III-P01-1-05]左房圧低下目的に経皮的心房中隔裂開術を施行した症例の治療成績

飯田 智恵, 田中 敏克, 伊藤 啓太, 渡邊 望, 稲瀬 広樹, 中井 亮佑, 久保 慎吾, 三木 康暢, 亀井 直哉, 小川 禎治, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)
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キーワード:

pullbackBAS、staticBAS、カテーテルインターベンション

【背景/目的】肺うっ血の軽減が必要な疾患における経皮的心房中隔裂開術(BAS)は、術前の血行動態を改善するために有用なカテーテルインターベンションの一つである。しかしその適応や効果については不明な点が多い。今回当院で左房圧低下目的にBASを施行した症例を後方視的に検討した。【対象/方法】2015年1月-2024年12月の間に、当院でBAS(static BASを含む)を施行した患児16症例について手技の効果と転帰を検討した。【結果】男児 5例、女児 11例。疾患の内訳は、HLHS 9例、DORV 6例、DILV 1例だった。日齢中央値は20.7日だった。出生当日に緊急BASを行なったのは2例のみで、いずれも胎児期に診断されていた。同一セッションでpull back BASとstatic BASを行なったのは4例で、RFwireを使用して心房間穿通を行なったのは3例だった。4例は複数回BASを必要とした。初回BASの日齢は0-72 中央値19.5で、BAS前LA圧は3-22mmHg中央値13mmHg、BAS後LA圧は3-15mmHg中央値8mmHgで有意に低下していた。最終手術は、Fontan 8例、BDG5例、BDG待機2例、BDG後循環が成立しなかった例が1例あった。【考察】BASはLA圧を低下させる急性効果を得るのに有効な治療方法であるが、BDGのカテ前に14mmHgだった1例が、その際にBASを施行せずにBDG施行し、循環が成立せずtakedownとなった。BDG手術までの間LA圧を14mmHgに維持することが重要であると示唆された。