講演情報

[III-P01-1-08]右室流出路形成術前に経カテーテル的に主要体肺側副血行起始部の塞栓を行った2症例

小山 裕太郎, 伊澤 美貴, 山口 修平, 吉田 真由子, 妹尾 祥平, 山田 浩之, 永峯 宏樹, 大木 寛生, 前田 潤, 三浦 大, 山岸 敬幸 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)
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キーワード:

主要体肺側副血行、中心肺動脈、接続動脈

【背景】主要体肺側副血行(MAPCA)の治療戦略は,中心肺動脈(CPA)の有無や正常肺血管との接続動脈(CA)の有無など,様々な要素を考慮して決定される.CPAを有しCAで接続されるMAPCAについては,理論上MAPCA起始部の塞栓が可能,かつ有用である.【症例1】胎児診断あり,在胎39週,体重2460gで出生した22q11.2欠失症候群の男児.心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖(PAVSD)を合併.MAPCAは2本でCPAありCAを介して全肺野をカバーしていた.月齢7で体肺シャントを造設しCPAの発育を促し,1歳で各MAPCA起始部のコイル塞栓を行った後,右室流出路形成を含む心内修復に至った.術後に残存MAPCAが判明し,追加でコイル塞栓を行った.肺高血圧はなく,有意な末梢性肺動脈狭窄も認めなかった.【症例2】胎児診断あり,在胎33週,体重1034gで出生した無脾症候群の男児.両大血管右室起始,房室中隔欠損,重症肺動脈弁狭窄,総肺静脈還流異常(TAPVC)Ib型を合併.MAPCAは3本でうち2本はそれぞれ右上葉,右下葉へ単独供給し,残り1本がCAを介してCPAと接続し,右中葉と左葉全体をカバーしていた.月齢8まで体重増加を待ち,後者のMAPCAに対して起始部をvascular plugで塞栓し,翌日に残る2本のMAPCA単統合(UF),姑息的右室流出路形成,TAPVC修復を実施した.術後,UFした右上下葉枝の狭窄を認め,同部位のバルーン拡張を要した.【考察】2症例とも,CAを有するMAPCAの起始部を事前に塞栓することで,後に続く外科手術の手数を減らすことができた.塞栓の可否判断や塞栓物質の選択には,3D造影CTや血管造影が有用である.また,事前にバルーンカテーテルによる試験閉塞を行い,塞栓後の肺血流量の変化を想定しておくことも重要である.