講演情報
[III-P01-1-09]Amplatzer Vascular Plugとコイルの併用による塞栓術の安全性と有効性
○嶋 侑里子, 矢崎 諭, 松村 雄, 小林 匠, 斎藤 美香, 吉敷 香菜子, 上田 知実, 浜道 裕二, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)
キーワード:
カテーテル塞栓術、Amplatzer Vascular Plug、コイル
【背景】本邦におけるAmplatzer Vascular Plug(以下、AVP)を用いた小児循環器領域における塞栓術の報告は多くはない。AVPの登場は比較的径の大きい異常血管の塞栓術を可能にし安全性を高めたが残存短絡を生じる症例を経験する。今回AVP2/AVP4とコイルの併用が有用であった5症例を経験。【結果】症例1:6歳女児、完全型房室中隔欠損・部分肺静脈還流異常症に対しTCPC術後4年。無介入の左上部分肺静脈還流異常が逆シャントとなり低酸素血症を来し塞栓術の方針に。7mmの血管径にAVP2 12mmを留置したが残存短絡が多くTarget XXL 14mm*50cmを追加。症例2:3歳男児、ファロー四徴症に対しグレン術後2年。低酸素血症が進行。無名静脈から起始する3mm台のVV短絡血管(以下、VVS)2本に対し一方はAVP4 8mmを留置後、AZURCX18 6mm*20cmを追加、一方はAVP4 7mm留置後AZURCX18 5mm*16cm2個、7mm*24cm 2個を追加。症例3:2歳女児、右室型単心室に対しTCPC術後6ヶ月。上大静脈・肝静脈から合流し右上肺静脈に流入する4.5mm径のVVSに対し肝静脈アプローチで遠位部からTargetXL 6mm*20cm 2個留置後、AVP4 5mm、AVP4 8mm留置後TargetXL 8mm*30cm、6mm*20cmを追加。症例4:1歳男児、肺動脈閉鎖・主要体肺側副血行路(以下、MAPCA)に対し肺血管統合術後2年。dual-supplyの4mm径のMAPCAに対しAVP4 5mmにTargetXL 6mm*20cm 2個を追加。症例5:1歳男児、心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖に対しBT短絡術(以下、BTS)後1年。二心室循環が成立し3mmBT短絡グラフトに対しAVP4 6mmにTarget360 4mm*80mm1個を追加。AVPとコイルの併用により全症例で合併症なく完全塞栓し得た。【考察】AVPによる塞栓術では短絡が残存する場合も少なくないため可能な限りコイルの追加を想定したランディングゾーンの設定が適切と考えられた。【結語】AVPとコイルの併用による塞栓術は安全かつ有用な手技であり多様な血管形態への対応が可能となると考えられる。