講演情報

[III-P01-2-02]人工呼吸管理中の肺高血圧クリーゼに対するTreprostinil吸入療法

川合 玲子1, 西原 友紀1, 田中 啓輔2, 佐藤 光央1, 川村 悠太1, 磯部 将2, 清水 由律香1, 増本 健一3, 片山 雄三2, 高月 晋一1 (1.東邦大学医療センター大森病院小児科, 2.東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科, 3.東邦大学医療センター大森病院新生児科)
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キーワード:

肺高血圧、吸入トレプロスチニル、集中治療管理

【はじめに】成人の肺動脈性肺高血圧症(PAH) に承認されているtreprostinil吸入療法は、小児患者においても有効性が示されている。今回、人工呼吸管理中にNO吸入下でPHクリーゼを繰り返した重症PAHに2症例に対して、treprostinil吸入療法を施行した経験を報告する。【方法】専用吸入機の吸入ピースに挿管チューブに対するコネクターを、フィルターシェルにNO 20 ppmを流したジャクソンリースをそれぞれ取り付け患者の挿管チューブに装着し、吸入タイミングに合わせて用手で換気した。【症例1】日齢22、男児。早産・低出生体重で出生し、完全大血管転位2型に対し日齢14にJatene手術を行った。術後肺出血、重症PHのため3日間のECMO装着後に離脱を試みたが、PHクリーゼのためECMOからの離脱が困難だった。2回目のECMOからの離脱時に再びPHクリーゼが生じたが、treprostinilを3吸入させた後に血行動態が改善し離脱に成功した。その後、周術期感染症で死亡した。【症例2】2歳男児。けいれん重積のため救急搬送され、特発性PAHの診断となった。人工呼吸管理下でのNO吸入療法とepoprostenol持続静注の投与でもPHクリーゼと気道攣縮を反復し院内心肺停止となった。蘇生に成功後も気道抵抗が30 cmH2O/L/secから100 cmH2O/L/secへ上昇する気道攣縮を反復した。Treprostinil吸入を導入したところ、吸入後に気道抵抗が速やかに改善した。本症例は蘇生後脳症により脳死判定となった。【結論】人工呼吸管理中のtreorostinil吸入療法は、PHのクリーゼへの治療選択肢となる可能性があった