講演情報
[III-P01-2-03]エポプロステノール持続静注を行った先天性心疾患術後乳児例
○中橋 匠, 中村 祐輔, 築野 一馬, 大森 紹玄, 増田 詩央, 真船 亮, 百木 恒太, 河内 貞貴, 星野 健司 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)
キーワード:
肺高血圧症、エポプロステノール、染色体異常
【背景・目的】先天性心疾患(CHD)術後PHへのPGI2持続静注製剤使用や低年齢での使用は稀である。先天性心疾患手術後に重度のPHを合併し、Epo持続静注を要し、その後セレキシパグへ置換できた乳児例を経験したため報告する。【症例】単心房、房室中隔欠損、PH、染色体異常の3か月女児。経胸壁心エコーで右心圧排所見を認め、心臓カテーテル検査で肺血管抵抗(Rp) 7.02 WU/m2であった。経口肺血管拡張剤(Oral)2剤でRp 3.98 WU/m2と改善したため、心房間半閉鎖(4mm fenest)を行なった。心内修復手術後、三尖弁逆流4.8 m/s以上となりOralではsuper systemicの状態であり血圧が維持できず、Epo持続静注を開始した。4 ng/kg/minまで増量し血圧維持が可能となり、1年後にセレキシパグに置換できた。【考察】心内修復術時の肺生検では、肺小動脈の内膜・中膜肥厚は明らかでなく、進行した肺血管リモデリングは認めなかった。また、遺伝子検査で2q14.2q14.3欠失を認めたが、PHとの関連は不明であった。PH進行には単心房による高肺血流、手術侵襲、原疾患の影響が複合的に関与していた可能性があると考えられる。【結論】乳児に対して、安全にEpo導入が可能であった。Oralのみでは血行動態維持が困難な場合、Epoは有効であり、その後の離脱も可能と考えられた。