講演情報
[III-P01-2-05]血管塞栓術後の外来経過観察中に肺胞出血による突然死をきたした多発性肺動静脈瘻の2例
○岡 健介, 五味 遥, 森田 裕介, 古井 貞浩, 横溝 亜希子, 松原 大輔, 関 満, 佐藤 智幸, 田島 敏広 (自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科)
キーワード:
肺動静脈瘻、オスラー病、突然死
【はじめに】肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous malformations: PAVM)は右左短絡による低酸素血症だけでなく、脳塞栓/膿瘍、感染性心内膜炎、肺出血など重篤な合併症を起こしうる。今回、血管塞栓術後の外来経過観察中に肺胞出血による突然死をきたした2例を経験したので報告する。【症例1】13歳男子。先天性内反足と合趾症に対して、生後10か月、3歳時に整形外科で手術を受けたが、低酸素血症は指摘されていなかった。5歳時、整形外科での再手術時に安静時SpO2 80%の低酸素血症が指摘された。精査の結果、オスラー病に伴う両側多発性のPAVMと診断された。5歳から9歳の間に計5回のカテーテル塞栓術を実施し、SpO2は80→90%台前半にまで改善した。その後、低酸素血症の進行に注意しながら外来経過観察を継続し、次回カテーテル治療の時期を検討中であった。13歳時、夜間に自宅で喀血して倒れ、心肺蘇生が行われながら近医へ搬送されたが、肺出血のコントロール困難であり死亡した。【症例2】16歳男子。先天性筋緊張性ジストロフィーで当院フォローアップされていた。15歳時に、両側母趾内転に対する整形外科術前胸部X線検査で左肺野異常陰影を指摘され、造影CT検査で左下肺に3か所の肺動静脈瘻が確認された。16歳時にカテーテル塞栓術を行い、SpO2は88→96%に改善した。術後、塞栓部周囲の胸膜炎を発症したが治癒し、その後の経過は良好であった。カテーテル治療9か月後に自宅で倒れているところを発見され、近医へ搬送されたが自己心拍再開せず死亡した。Ai-CTにより左肺びまん性浸潤影が確認され、死因は左肺胞出血と診断された。【まとめ】PAVMは無症状であっても重篤な合併症を来しうるため、可能な限り積極的治療を行うのが良いと考えられる。一方で、多発性PAVMの場合は、治療後にもPAVMの拡大や新規病変の出現を来しうるため、自覚症状や酸素飽和度低下がなくとも密な画像検査フォローアップが必要である。