講演情報

[III-P01-2-09]重症先天性横隔膜ヘルニア術後遠隔期における両側肺の血行動態~肺血管抵抗と肺高血圧の経時的変化~

小林 優1, 山村 健一郎1, 長友 雄作1, 松岡 良平1, 寺師 英子1, 平田 悠一郎1, 永田 弾2, 永田 公二3, 田尻 達郎3, 大賀 正一1 (1.九州大学病院 小児科, 2.福岡市立こども病院 循環器集中治療科, 3.九州大学病院 小児外科)
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キーワード:

横隔膜ヘルニア、肺血管抵抗、肺高血圧

【背景】重症横隔膜ヘルニア(CDH)は出生時から肺高血圧(PH)を認める。患側肺は胎生期の圧迫等により術後PHが遷延するが、遠隔期は明らかでない。また健側肺の影響も不明である。【目的】重症CDH術後に両側肺の肺血管評価を行い、適切なPH管理を目指す。【対象】2017-23年に当院で出生した重症CDH 38例のうち、NICU退院時にPHを合併し心臓カテーテル検査を施行した11例を対象とした。肺血流シンチグラフィから両側肺の肺血管抵抗(RpI)を算出、PH残存症例で1年後5例、2年後4例にフォローアップ検査を行った。【結果】11例全例が胎内診断を受け、LT比0.09(0.05-0.12)、o/e LHR32.9(20.6-36.1)だった。在胎37(35-38)週、出生体重4.2(3.0-6.8)kgで、6例が心疾患合併(AVSD+DORV1例 、MA1例、Large PDA1例 、TGAI1例、TOF+PAPVC1例、VSDII 1例)だった。全例ICU入室し、3例でECMO導入、7例でPGI2静注、日齢2(1-3)でCDH修復術を受けた。人工呼吸器40(36-79)日、NO吸入22(7-55)日、入院145(113-207)日だった。退院時NHF装着9例、酸素投与7例、経口PH薬7例だった。心カテは月齢6(3-7)に実施、全て酸素非投与下で行い、SpO2 94(90-95)%、平均PA圧22(16-37)mmHg、Pp/Ps 0.37(0.21-0.93)、Qp 3.8(3.1-5.8)l/min/m2、RpI 5.2(3.0-8.2)Wood単位・m2だった。健側vs患側で肺血流シンチは65 vs 35%、RpIは5.0(3.2-28.0)vs 11.4(4.7-103.1)、RpI比0.49、患側RpIが高い症例ほど健側RpIも高かった(p=0.03)。1年後、2年後の健側RpIは4.1(2.4-13.1)、5.8(1.8-10.2)、患側RpIは6.5(4.6-18.1)、8.7(4.7-13.9)だった。初回健側RpIが高い症例はPHが持続していた。【考察】重症CDH術後は患側RpIが高い症例ほど健側RpIも高く、遠隔期PHが持続していた。両肺の血行動態を考慮した管理が必要である