講演情報
[III-P01-3-06]統合失調症を合併し頻拍治療に難渋した修正大血管転位症の一例
○峰松 優季1, 渡邉 まみ江1, 田中 惇史1, 峰松 伸弥1, 池田 正樹1, 豊村 大亮1, 清水 大輔1, 杉谷 雄一郎1, 宗内 淳1, 熊本 崇2 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.佐賀大学 小児科)
キーワード:
修正大血管転位、心房頻拍、統合失調症
【症例】28歳男性。学校健診を契機に7歳時に修正大血管転位症(IDD)と診断され、中等度三尖弁閉鎖不全に対し、ジゴキシン、エナラプリルが開始された。11歳時の心臓カテーテル検査では、血行動態としては安定していたが、心房粗動、心房細動、リエントリー性上室頻拍といった複数の上室性頻拍を認めた。14歳時より不登校を契機に数回受診が途切れがちとなったが、臨床的にも月に数回動悸発作が出現し、冷たい床に寝ることで自己停止していた。22歳時に異常行動を契機に統合失調症の診断となった。26歳時より再度循環器受診を自己中断し、27歳時より精神科受診も自己中断した。28歳時に動悸が持続するため、救急外来を受診した。心拍数220/分の上室性頻拍を認め、ATP投与により停止した。本人から精神的に疲弊しており家族と離れ休みたいという希望があったことや、不整脈のモニタリングに加え薬剤調整、アドヒアランス改善のための心不全教育を考慮し、同日入院とした。入院中も心拍数140-180/分の頻拍を間欠的に認めた。入院2日目夕方頃より心電図モニター装着の拒否など精神的に不安定となり、入院3日目早朝に裸足で病院を離院し、近くで警察に保護され当院に搬送となった。かかりつけの精神科病院に転院し統合失調症に対する薬剤調整を行った上で、不整脈診療と精神科病棟への入院が可能な大学病院でカテーテルアブレーションを施行した。2種類の心房頻拍が誘発され、再早期興奮部位で焼灼をした。その後頻拍は誘発されなかった。入院中は精神的にも安定しアドヒアランス良好であった。経過中に訪問看護も導入し、以降は循環器科、精神科へ定期通院している。短時間の頻拍発作は再燃したが、ビソプロロール内服でコントロールされている。【結語】統合失調症患者の症状を増悪させないよう侵襲的治療を行うには慎重な対応が必要だった。今回、複数科の共同診療によりカテーテル治療を安全に行えた一例を経験した。