講演情報
[III-P01-4-02]生直後より集中治療管理を有した右肺動脈左房瘻の一例
○加護 祐久1, 高橋 誉弘1, 赤塚 祐介1, 佐藤 浩之1, 原田 真菜1, 田中 登2, 中西 啓介3, 福永 英生1, 東海林 宏道1 (1.順天堂大学 医学部 小児科, 2.鳥取県立中央病院 小児科, 3.順天堂大学 医学部 心臓血管外科)
キーワード:
先天性心疾患、新生児、心不全
【背景】右肺動脈左房瘻は報告が少ない稀な症例で、出生後の経過や予後は様々である。胎児期に右肺動脈左房瘻の診断となり集中治療管理を要した症例を報告する。【症例】在胎24週時に当院産婦人科を紹介受診し、右肺動脈左房瘻の診断となった。体重増加は良好であったが心拡大傾向を認めたため産婦人科、心臓血管外科、小児科でカンファレンスを行い、在胎36週2日に予定帝王切開、日齢2に心臓血管外科手術の方針とした。出生後、著明な低酸素血症を認め速やかに挿管、バッグ換気で蘇生を行った(出生体重 2258g、Apgar Score 2/7)。瘻孔の形態と肺静脈の還流から右肺動脈左房瘻type1、動脈管開存症、心房中隔欠損症、左肺動脈分岐部狭窄(1.5mm)の診断とした。瘻孔は3mm大で右肺動脈から左房への短絡により、肺血流の減少を認め著明な低酸素血症と左心系の容量負荷を認めた。動脈管の自然閉鎖に伴い容量負荷は軽減傾向となったが、低酸素血症の進行を認めた。日齢2に瘻孔の閉鎖を施行したが、術後右室の後負荷増大により循環不全となりECMO管理とした。術後管理は良好でPOD5にECMO離脱、POD10に閉胸、POD14にICU退室としたが、左肺動脈分岐部狭窄の進行を認め日齢30に左BTシャント術を施行した。日齢39に左房起源の心房頻拍を認めフレカイニドを導入した。術後経過は良好で、生後2か月で自宅退院とした。【考察】胎児期に診断した右肺動脈左房瘻の1例を経験した。既報では新生児期の診断症例は予後が不良であり、動脈管などのその他の合併奇形が予後に関わる可能性があるとされている。本症例では動脈管は自然閉鎖傾向となり左房負荷所見の軽減を認めたが、低酸素血症の進行を認め管理が困難であった。胎児診断例は事前にカンファレンスを行い治療方針・治療計画の決定を行う事で予後改善につながる可能性がある。