講演情報
[III-P01-4-03]Unifocalization を必要とする PAVSD MAPCA における VSD 閉鎖の決定因子と肺循環管理
○猪飼 秋夫1, 伊藤 弘毅1, 廣瀬 圭一1,2, 石垣 瑞彦3, 金 成海3, 新居 正基3, 田中 靖彦3, 坂本 喜三郎2 (1.静岡県立総合病院 リサーチサポートセンター 臨床研究部 肺循環動態研究部, 2.静岡県立こども病院、 心臓血管外科, 3.静岡県立こども病院 循環器科)
キーワード:
主要体肺動脈側副血行路、PAVSD MAPCA、unifocalization
【目的】PAVSD MAPCA は治療の標準化が難しく、肺高血圧を呈することがある。本研究では、unifocaliozationの手技を含めた治療戦略の妥当性を検討し、カテーテル評価を含む包括的な治療方針の有効性を検討した。【方法】術前 CT・選択的血管造影で綿密に評価し、unifocalization を計画。術中に生食水 inflation test で血管を評価後、unifocalization を施行。VSD 閉鎖適応はflow study(≦25 mmHg, 3L/min/m2) とした。VSD 開放例では平均中心肺動脈圧を 25-30 mmHg に調整。退院時造影 CT と 術後1年を目安のカテーテル検査 を実施。【成績】2017年6月~2023年8月の連続 30 例(22q11 deletion; 14 例) を対象。本治療方針での初回手術時年齢は中央値10.7ヶ月。体重中央値7.1kg。平均術後観察期間は52.4 ヶ月。平均 MAPCA 本数 3.8±1.7 本、吻合数 2.7±1.3 箇所 。食道背側走行は17 例。VSD は18 例(1 例は脳障害により早期死) に一期的閉鎖を施行。VSD 未閉鎖の12 例中 2 例が死亡、9 例に段階的閉鎖を施行、1 例は現在待機中。最終的に生存 27 例中 26 例(96%) が VSD 閉鎖に到達した。初回 unifocalization 時の吻合数と flow study は高い相関(r=0.646, p<0.001) を示したが、多変量解析では吻合数のみが VSD 閉鎖の独立した決定因子(p=0.051) であった。VSD 閉鎖後 23 例にカテーテル評価を実施し、13 例にバルーン治療を施行。右室大動脈圧比が 0.66→0.57(p=0.04) と有意に低下した。さらに 14 例に複数回のカテーテル治療を行い、VSD 閉鎖より平均 30.9 ヶ月後の平均中心肺動脈圧は 18.0±2.7 mmHg(12-23) であった。【結論】綿密な術前評価と術中 inflation test に基づく unifocalization は妥当であり、吻合数がVSD 閉鎖の可否を決定する重要な因子であった。また術後早期のカテーテル評価とバルーン血管形成が肺高血圧の発症回避に有効であり、計画的な治療戦略が重要である。