講演情報
[III-P01-4-10]フォンタン術後カテーテル検査におけるドブタミン負荷試験の有用性
○加藤 温子1, 馬場 達也1, 末廣 友里1, 林田 由伽1, 廣瀬 将樹1, 石井 良1, 石田 秀和1, 成田 淳1, 世良 英子2, 北畠 康二1 (1.大阪大学大学院 医学系研究科 小児科学, 2.大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
キーワード:
カテーテル検査、ドブタミン負荷、フォンタン術後
【背景】フォンタン術後のカテーテル検査は本邦でルーチンに行われていることが多いが、安静時の血行動態であり、本来の病態をそのまま反映をしているとは言い難い。一方で運動負荷下での検査もあるが実行は難しい。当院では代用手段としてドブタミン負荷試験を行ってきたが、それに対する明確な判断基準はない。【目的】フォンタン患者において心血管イベント(MACE)を生じた患者とそうでない患者でDOB負荷試験への反応が異なるか解析し、負荷試験の有用性を検討する。【方法】当院でのフォンタン術後のカテーテル検査においてDOB負荷が行われた症例でMACEあり(n=13)、MACEなし(n=40)に分類し、比較した。【結果】平均フォローアップ年齢は33 ± 15歳vs 26 ± 11歳(p=0.05)、カテ時の年齢は27 ± 12歳vs 20 ± 9 歳(p=0.04)で、不整脈有病率は69% vs 20%(p=0.006)と優位にMACEあり群で高かった。カテーテル検査入院時のBNPは38.5 ± 26.6pg/dL vs 18.6 ± 17.2pg/dL (p=0.012)だった。DOB負荷前後でのHR、CVP、心室内圧、CIに有意差は認めなかったが、負荷後の動脈圧は有意にMACEなし群で低く(116±15/66±11mmHg vs 127±21/73±14mmHg, p=0.016/0.026)、Rsも低い傾向にあった(22.5 ± 7.6WU×m2 vs 27.5 ± 14.4WU×m2, p=0.06)。全症例において主だった副作用は認めなかった。【結語】フォンタン術後の予後不良患者においてDOB負荷により安静時とは異なる血圧上昇の乏しさを認めた。DOB負荷はフォンタン術後の血行動態を簡便により詳しく知るツールとなりうる。