講演情報
[III-P01-5-03]小児ECMO導入時の対応者増加に向けた5年間の取り組みと今後の課題
○高 寛 (岡山大学病院 臨床工学センター)
キーワード:
小児、ECMO、プレコネクト回路
【背景と目的】心停止や循環不全時のECMOは、短時間での導入が求められる。そのため休日夜間の成人症例の初期対応を当院では、宿直の臨床工学技士(CE)が対応している。一方で小児ECMOの初期対応は、人工心肺操作者のみで対応者は限定されている。CEの対応者増加に向けた5年間の取り組みと今後の課題について報告する。【方法】宿直者の目標を回路の充填が行えることとした。10kg未満に使用する小児ECMO回路は組み立てが必要であるため、初年度に隔週で勉強会を行い、練習用回路では、組み立て・充填が行えた。10kg 以上の症例は、成人と同様のプレコネクト回路を使用した。カニューレの準備・選択を容易にするためにECMOの体格別カニューレリストを作成した。ECMO導入時の操作は、宿直者とオンコール者が共同で行った。【結果】過去5年間のECMO総数は31-41例/年、10kg未満の小児症例は、6-10例/年、休日夜間の10kg未満の小児症例は、3-6例/年であった。CEの宿直者は、約12名で5年間に10kg未満に使用するECMO回路の充填を経験したCEは、5名のみであった。10kg以上の症例は、オンコール者が現場に到着する際には、回路充填が終了している状況が多かった。カニューレリストを作成したものの、実際に使用するカニューレは、症例によって様々でマニュアルと異なることが多く、医師とオンコール者が症例毎に電話や現場で協議した。【考察】成人症例のECMO初期対応を宿直者が行える主な要因は、プレコネクト回路の使用、カニューレ挿入部位・サイズの限定、実際に経験する症例数である。本結果より、回路の組み立てや充填を練習しても実際に経験することはほぼなく、継続的に宿直者が対応することは困難であった。これを改善するためには、体格の小さな小児症例に使用できるプレコネクトECMO回路が必要であると思われる。【結論】小児プレコネクトECMO回路は、小児ECMO体制の課題解決に重要な項目であることが示唆された。