講演情報
[III-P01-5-04]動脈管閉鎖後にPLCSをきたした遺伝的異常児の2例
○池田 英史, 草野 智佳子, 大塚 雅和, 桑原 義典 (長崎大学病院 小児科)
キーワード:
動脈管、PLCS、遺伝的異常
【背景】PLCS(post ligation cardiac syndrome)は動脈管の閉鎖による急激な血行動態の変化(前負荷の低下と後負荷の増大)に代償できず、循環不全をきたす病態である。低出生体重児において外科的閉鎖後の合併症としてよく知られているが、今回遺伝的異常を背景に持つ動脈管開存症の児に対しそれぞれ外科的介入、内科的介入後にPLCSをきたした2症例を経験したので報告する。【症例1】胎児心拍低下に伴い36週0日、1682gで緊急帝王切開で出生した。脳室拡大、先天性食道閉鎖、多発奇形(口唇口蓋裂,コロボーマ,耳介低形成,小陰茎など)がありNICUへ入室した。出生時より動脈管は太く、徐々に心不全症状を来したため、日齢4よりインドメタシンを開始し2クール投与するも閉鎖傾向なく日齢30に動脈管結紮術を施行した。術直後より心収縮不良あり、ドブタミンおよびミルリノンによるサポートを開始し徐々に心機能は回復した。後日、遺伝子検査でCHARGE症候群の診断となった。【症例2】40週4日、2590gで経膣分娩で出生した。出生時より動脈管は太く、徐々に哺乳不良、呼吸不全を来したため日齢6よりインドメタシンを開始、日齢10に3回目の投与で動脈管は閉鎖傾向となった。しかし同時に心収縮不良となりドパミン、ドブタミン、オルプリノンを開始し経時的に心機能の回復を認めた。耳介低位、手掌単一線、両側難聴があり提出していた染色体検査では後日、11番長腕部分トリソミーを認めた。【考察】今回、異なる遺伝的異常を背景に持つ動脈管開存症に対し閉鎖治療後にPLCSをきたし、一時的なカテコラミンサポートを要した2症例を経験した。遺伝子・染色体異常を含め、PLCSのリスク因子に関して過去文献を踏まえ考察する。