講演情報

[III-P01-5-07]Swing-back法を用いたNorwood手術後に頚部三分枝狭窄を起こした症例

清水 寿和1, 本宮 久之1,2, 鵜垣 伸也1, 濱屋 和泉1, 野村 耕司1 (1.埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科, 2.京都府立医科大学 小児心臓血管外科)
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キーワード:

Swing-back、Norwood、頚部三分枝狭窄

【背景】Swing-back法はNorwood型手術における大動脈弓再建を行う手法の1つであり、当院でも7例実施した。しかし、1例においてNorwood術後19ヶ月で頚部三分枝の高度狭窄を認めたため、Swing-back法のピットフォールとして報告する。【症例】症例は1歳11ヶ月男児。三尖弁閉鎖症(IIc)、僧帽弁閉鎖不全症に対して、日齢19日にSwing-back法を用いたNorwood手術+modified BT shunt (4mm)+僧帽弁形成術+心房中隔欠損拡大術を実施した。月齢3ヶ月に低酸素血症と肺動脈狭窄に対してre-modified BT shunt(4mm)+肺動脈形成術、月齢7ヶ月にGlenn+再肺動脈形成術を実施した。Fontan術前のカテーテル評価で腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈に狭窄を認めて、造影CTでも同様の所見を認めた。Fontan手術前に頚部三分枝の形成術を行う方針となった。手術では送血路として右総頚動脈、左総頚動脈、遠位弓部大動脈を確保、脱血路として右房、上大静脈、左内頚静脈を確保した。視野確保のため無名静脈を離断した。心停止下に上行大動脈から腕頭動脈・右総頸動脈に切開し、左総頸動脈方向にもT字に切開を追加した。狭窄部をPTFE sheet(0.4mm)を用いてパッチ拡大を実施した。術後に頚部三分枝の狭窄は解除されたが、パッチによる圧排で無名静脈の狭窄を認めたため、カテーテルによるステント拡張術を実施した。現在はFontan手術にむけ外来待機中である。【考察】頚部三分枝の狭窄を起こした原因として、1. 大血管転位型の配置であり上行大動脈の移動距離が長かったこと、2. 弓部大動脈が広範囲に低形成であったことが考えられる。Swing-back法では頚部分枝の狭窄を起こす可能性があり、術式の選択には注意が必要である。