講演情報
[III-P01-6-03]MultiplexPCRを用いた川崎病発症とウイルス感染の関連に関する検討
○今村 俊也, 三浦 大, 前田 潤, 山岸 敬幸 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)
キーワード:
川崎病、病因、RSウイルス
【背景】
川崎病の病因は明らかでないが、何らかの感染症が誘因になりうることが指摘されている。先行感染をきたすウイルスの種類は報告ごとにばらつきが見られる。
【目的】
川崎病の発生と各種呼吸器系ウイルス感染の流行との時期的関連性を明らかにする。
【方法】
2020年1月から2024年9月の間に当院で検査を行ったMultiplexPCR(FilmArray呼吸器パネル®)の各種ウイルスの検出結果と、川崎病の入院患者数を後方視的に解析した。ウイルスの検出数と川崎病の週ごとの発生数をポアソン回帰モデルで分析した。対象ウイルスはSARS-CoV-2、ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス3型である。
【結果】
対象は、川崎病患者524人(0歳2か月~8歳9か月、中央値2歳、男294人)とMultiplexPCR 16,402件だった。週ごとの川崎病の発生数と、4週間前のRSウイルスの検出数に有意な関連が見られた(リスク比1.023, 95%信頼区間1.004-1.042)。一方で、SARS-CoV-2、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス3型は、いずれも感染の流行が川崎病の発生数の上昇に先行していたが、リスク比(95%信頼区間)は、それぞれ1.002(0.991-1.012)、 1.006(0.975-1.038)、 1.001(0.975-1.027)と有意な関連はみられなかった。
【考察】
気道ウイルスの感染、特にRSウイルスの流行が川崎病の発症に約1か月先行していることが示唆された。川崎病は自然免疫系の活性化により血管炎を引き起こすと考えられ、ウイルス感染の免疫応答による時間的差異が川崎病の発症に関与している可能性がある。全国調査によれば、川崎病の発生数は、以前は1月に多発していたが、2021年から8月に多くなっている。この変化は、近年RSウイルス感染が7~8月にピークを示していることで説明ができるかもしれない。
【結論】RSウイルスを含む気道感染が川崎病を誘発する可能性が示唆された。
川崎病の病因は明らかでないが、何らかの感染症が誘因になりうることが指摘されている。先行感染をきたすウイルスの種類は報告ごとにばらつきが見られる。
【目的】
川崎病の発生と各種呼吸器系ウイルス感染の流行との時期的関連性を明らかにする。
【方法】
2020年1月から2024年9月の間に当院で検査を行ったMultiplexPCR(FilmArray呼吸器パネル®)の各種ウイルスの検出結果と、川崎病の入院患者数を後方視的に解析した。ウイルスの検出数と川崎病の週ごとの発生数をポアソン回帰モデルで分析した。対象ウイルスはSARS-CoV-2、ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス3型である。
【結果】
対象は、川崎病患者524人(0歳2か月~8歳9か月、中央値2歳、男294人)とMultiplexPCR 16,402件だった。週ごとの川崎病の発生数と、4週間前のRSウイルスの検出数に有意な関連が見られた(リスク比1.023, 95%信頼区間1.004-1.042)。一方で、SARS-CoV-2、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス3型は、いずれも感染の流行が川崎病の発生数の上昇に先行していたが、リスク比(95%信頼区間)は、それぞれ1.002(0.991-1.012)、 1.006(0.975-1.038)、 1.001(0.975-1.027)と有意な関連はみられなかった。
【考察】
気道ウイルスの感染、特にRSウイルスの流行が川崎病の発症に約1か月先行していることが示唆された。川崎病は自然免疫系の活性化により血管炎を引き起こすと考えられ、ウイルス感染の免疫応答による時間的差異が川崎病の発症に関与している可能性がある。全国調査によれば、川崎病の発生数は、以前は1月に多発していたが、2021年から8月に多くなっている。この変化は、近年RSウイルス感染が7~8月にピークを示していることで説明ができるかもしれない。
【結論】RSウイルスを含む気道感染が川崎病を誘発する可能性が示唆された。