講演情報

[III-P01-6-06]患者iPS細胞由来の心筋細胞を用いたコネキシン45変異に関する研究

古谷 喜幸1, 羽山 恵美子1, 西井 明子2,3,4, 川口 奈奈子1, 島田 光世1, 中西 敏雄1, 稲井 慶1 (1.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科, 2.東京女子医科大学 統合教育学修センター, 3.東京女子医科大学 予防医学科, 4.東京女子医科大学 循環器内科)
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キーワード:

ヒトiPS細胞分化心筋細胞、心機能、興奮伝播速度

【背景】遺伝性心疾患患者のiPS細胞(iPSC)から分化誘導して得られる心筋細胞(iPSC-CM)は、患者心筋に代わり、遺伝子変異による細胞機能変化の評価に用いることができる。コネキシン(Cx)は隣接する細胞間の物質の輸送を司るギャップジャンクション蛋白の一つである。心臓にはCx40, 43, 45が発現し、Cx45は心臓では刺激伝導系に限局して存在する。Cx45の変異(p.R75H)は、心房に限局した伝導障害を引き起こした。【目的】iPSC-CMを用いて、コネキシン45変異による影響を評価する。【方法】健常者およびCx45変異をもつ患者の不死化B細胞株から山中因子を導入してiPSCを作製した。免疫染色法により多分化能マーカーを検出し、STEMdiff Trilineage Differentiation kit (STEMCELL Technologies)を用いて三胚葉分化能の検定を行った。これらのiPSCから接着法によりCMを誘導し、乳酸を含む培地により純化した。このCMを多点平面微小電極プローブ(MED64, Alpha MED Scientific)上に接着・培養して、外部電流を測定した。【結果】不死化B細胞株から作成したiPSCは、多分化能マーカーであるTRA-1 60, SSEA4, Oct4を発現した。iPSCをin vitroで三胚葉へ分化すると、いずれも内胚葉マーカー(FOXA2)、中胚葉マーカー(NCAM1)、外胚葉マーカー(PAX6)を発現した。iPS-CMの電気生理的指標をMEDシステムにより検討したところ、Cx45変異をもつIPS-CMのFPDは健常に比べて短く、興奮伝播速度は遅い傾向が示された。【結論】患者iPSC-CMを用いて、Cx45変異による伝導率の変化などの電気生理学的指標の変化を検出することができた。遺伝子変異による細胞機能変化の評価に、本研究法は有用である。