講演情報
[III-P02-1-03]並列大血管関係のTGA1型に対するJatene手術の工夫
○西田 真由, 木村 成卓, 沖 尚彦, 志水 秀彰, 奈良 努, 松本 順彦, 高橋 辰郎, 山崎 真敬, 伊藤 努, 志水 秀行 (慶應義塾大学病院 外科学 心臓血管)
キーワード:
TGA、完全大血管転位症、autologous flap extension technique
【背景】並列大血管関係の完全大血管転位症では、移植後の冠動脈に屈曲や過伸展をきたしやすく、修復の際に注意を要する。今回、大動脈壁を用いて冠動脈を延長するautologous flap extension techniqueを応用しJatene原法を施行したTGA1型症例を経験したため報告する。【症例】在胎38週2685gで出生した女児。TGA1型の診断で当院に搬送された。造影CTで冠動脈はshaher分類9型、大動脈(Ao)と肺動脈(PA)はside by sideであった。日齢5に手術を施行した。手術は腕頭動脈送血、上下大静脈脱血で人工心肺を確立。心停止後に両大血管を離断。右冠動脈はanterior facing sinusとnon coronary sinus間の交連近くより起始し、また起始直後に分枝を出しており、通常の冠動脈移植は困難であると判断、冠動脈頭側の大動脈壁を利用してpouchを作成することにより冠動脈を延長し(autologous flap extension technique)、neo AoにTrap door法で吻合した。左冠動脈はBay window 法でneo Aoに吻合した。右冠動脈の圧迫を防ぐために、PAはLe compteせず、吻合部が通常より右側になるように吻合した。人工心肺離脱は容易であった。TEEでも心機能や冠動脈吻合部に異常なく、開胸のまま帰室した。術後経過は良好で2PODに閉胸、6PODで抜管、24PODに自宅退院した。【考察】TGAの修復においては特に冠動脈移植に際し様々な方法が報告されている。複雑な解剖のTGAを修復する際には様々なtechniqueを応用する必要がある。【結論】並列大血管関係のTGA1型に対してautologous flap extension techniqueを応用したJatene原法を施行し良好な結果を得た。