講演情報
[III-P02-1-05]Noonan症候群の閉塞性肥大型心筋症に対して両心室アプローチにて右室・左室流出路狭窄解除を行った一例
○藤本 遼, 八重樫 耕生, 大谷 舜, 高内 拓海, 中野 憧弥, 菅谷 篤史, 山下 剛生, 境 次郎, 平尾 慎吾, 小宮 達彦 (倉敷中央病院 心臓血管外科)
キーワード:
Noonan症候群、閉塞性肥大型心筋症、両心室アプローチ
【背景】Noonan症候群の心臓異常として肺動脈狭搾症、肥大型心筋症(HCM)、心房中隔欠損(ASD)、心室中隔欠損が報告されている。HCM合併の際に左室流出路狭窄(LVOTO)を起こすことは多く報告されているが左室・右室流出路狭窄(LVOTO/RVOTO)共に見られることは稀である。【目的】閉塞性肥大型心筋症(HOCM)にてLVOTO/RVOTOを同時に起こす場合は稀であり、症候性HOCMは外科的治療介入を要する。今回LVOTO/RVOTO解除のための術前プランニング、心筋切除部位の判断・アプローチ方法を提示する。【方法】症例は19歳女性。出生時Noonan症候群と診断され、HOCMに対して薬物治療でフォローされていた。NYHA2度の症候性HOCMをきたし、心エコーではLVOTO 4.0m/sec、収縮期僧帽弁前方運動(SAM)を伴うmoderate MR、右心負荷所見、ASDの所見あり。右心カテーテル検査ではPA-RV間に50mmHgの圧較差とRVOTOを認めた。外科的治療介入が必要と判断し、LVOTO/RVOTOとASDに対してLVOTO/RVOTO解除とASD閉鎖を施行することした。【結果】胸骨正中切開して人工心肺を確立。右房切開してASDを縫合閉鎖し、三尖弁越しにRVOTO解除のため右室心筋切除試みるが視野が悪く右室切開して右室心筋を切除。大動脈切開して大動脈弁越しに左室心筋切除を行った。心拍動下に経食道心エコーを確認するとSAM残存あり、再度心停止して左室切開アプローチにて心筋切除を追加。その後PA-RV間の圧較差は5mmHg程度まで改善し、LVOT流速2.0m/sec 以下でSAM改善したことを確認して手術終了した。【考察】右室切開にてParietal band、中隔側、前壁心筋を切除。左室切開して大動脈弁側切除端から心尖部方向へ中隔切除を追加して乳頭筋レベルの中隔まで切除。大動脈弁越しからは確認できなかった異常筋束も含めて切除を行うことが可能であった。【結論】心筋切除困難な場合はためらわずに左室・右室切開からのアプローチを試みるべきである。