講演情報
[III-P02-1-08]自己肺動脈弁温存TOF手術の再介入に関する検討
○加藤 伸康1, 砂土居 泰生1, 南田 大朗1, 杉木 宏司1, 大岡 智学1, 加藤 裕貴1, 新宮 康栄1, 山澤 弘州2, 武田 充人2, 若狭 哲1 (1.北海道大学大学院医学研究院心臓血管外科, 2.北海道大学大学院医学研究院小児科)
キーワード:
ファロー四徴症、肺動脈弁温存、遠隔期再介入
【背景】ファロー四徴症(TOF)の更なる長期予後改善には術後の肺動脈弁機能が重要である.当院では積極的に自己肺動脈弁温存(VS;valve sparing)手術を行なっているが,体格に応じた成長が期待できる一方で肺動脈弁狭窄(PS)増悪に対する再介入の懸念が残る.再介入においてRastelli手術は確実な狭窄解除の方法だが,カテーテル治療や再VS手術も有効な選択肢となり,術式に関しては検討の余地がある.【目的】TOF再介入症例の詳細を明らかにし,再VS手術の可能性を検討する.【対象】2013年以降,TOF58例に対してVS手術を施行した.介入時の月齢13(11-19)歳,体重8.8(8.1-9.6)kg,体肺動脈短絡手術の既往23例(40%),術前UCGでの肺動脈弁輪径Z-score(by Daubeney) -3.1(-4.8 - -2.0)で,術後UCGでPS流速2.5(1.9-2.9)m/s,逆流は全例mild以下であった.PS増悪に対し7例で再介入を要した.【結果】再介入の時期は術後10(4.5-34.5)ヶ月で,根治手術と同一入院での再介入を1例認めた.PSの主体は弁性4例,弁上1例,末梢2例であった.カテーテルでの介入を弁性2例,弁上1例,末梢2例に行い,弁性と弁上の1例ずつがその後外科介入を要した.外科介入は弁性3例,弁上1例に対して行い,遺残短絡への同時介入も2例で要した.術式はRastelliへの移行が2例,弁上狭窄解除1例,VS1例であった.結果として再介入7例中5例で自己弁温存され,肺動脈弁機能についてはカテーテル治療のみの3例では逆流はmildだが3.3-3.5m/s程度の弁性PS残存を,外科介入を行なった2例はいずれも最大流速2.6m/sと狭窄は改善し,逆流は弁上狭窄解除でmoderate,再VS手術でmildと術前から増悪なく経過している.【結語】VS手術ではPS残存の懸念は残るが,再介入の際にカテーテル治療の効果が乏しい場合でも再手術にて自己肺動脈弁機能を温存できる可能性が残る.引き続き自己肺動脈弁および右室機能に関してフォローを要する.*数値は中央値(IQR)で記載