講演情報
[III-P02-2-01]新規心・血管修復パッチ「シンフォリウム」の市販後の当施設における連続使用経験
○小西 隼人1, 鈴木 昌代1, 勝間田 敬弘1, 町田 功実2, 水岡 敦喜2, 蘆田 温子2, 小田中 豊2, 尾崎 智康2, 岸 勘太2, 根本 慎太郎1 (1.大阪医科薬科大学 医学部 外科学講座 胸部外科学教室, 2.大阪医科薬科大学 医学部 泌尿生殖発達医学講座 小児科学教室)
キーワード:
自己組織化、心・血管修復パッチ、新規医療材料
【背景】本邦で開発され2024年6月に市販開始となった新規心・血管修復パッチ「シンフォリウム」は、本学会および日本小児心臓外科医会で策定された適正使用指針の下で使用されている。【目的】本製品が埋植された症例の患者背景および短期術後経過を後方視的に調査すること。【方法】埋植か所のサイズに合わせパッチをトリミングし、生理食塩水の含水によるカーリングを利用し、polypropylene糸連続縫合で縫着した。【結果】2024年6月から2025年1月までに連続8例(男女比1:1)に本製品が埋植された。原疾患はファロー四徴(TOF)3例、心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖(PA/VSD)3例、単心室1例、および大動脈縮窄1例であった。手術時年齢は中央値11ヶ月(範囲1~25)。埋植部位と術式は、肺動脈分枝4例(TOF修復時1、Blalock-Taussigシャント時2、および両方向性グレン吻合時1の肺動脈形成)、Trans annular patch4例(TOF修復時3およびPA/VSD修復時1)、心室中隔欠損孔4例(前出4例)、および弓部大動脈1例(大動脈形成1)の計13ヶ所に縫着された。全例で縫合糸貫通孔にフィブリノゲン・コラーゲンシートを貼付した。PA/VSD修復後の遺残VSDを再手術閉鎖1、乳糜胸2、長期挿管1を認めた(本製品との関連なし)。全例軽快退院し、術後フォローアップ期間(中央値63日、範囲17~225)で、埋植されたパッチの脱落や漏洩、萎縮・硬化等による狭窄、および瘤化の発生はなく、本製品との関連合併症は全例で認めなかった。【結論】短期の観察期間ではあるものの、従来使用されてきた自己心膜、異種心膜、そして合成パッチと比べ遜色ない結果であった。現在進行中である市販後調査の解析、そして更なる症例蓄積と遠隔期イベント調査から、意図する性能の有効性と安全性を評価する必要がある。