講演情報
[III-P02-2-04]当院における肺動脈弁置換術の中期遠隔成績
○鹿子島 成充1, 鳥羽 修平1, 松田 健作1, 永瀬 晴啓1, 原田 雄章1, 安東 勇介2, 塩瀬 明2, 中野 俊秀1 (1.福岡市立こども病院 心臓血管外科, 2.九州大学病院 心臓血管外科)
キーワード:
肺動脈弁置換術、中期遠隔成績、再弁置換
【背景】当院で施行した肺動脈弁置換術(PVR)の中期遠隔成績について検討した。【対象と方法】当院で1974年から2020年の間にPVRを施行した101名の患者を後方視的に検討した。2015年以降当院の施行基準は心臓MRIでRVEF<35%、及びRVEDVI>150 ml/m2としている。観察期間の中央値は9年(0~25)、手術時の年齢中央値17歳(4~29)、体重中央値は47.4kg(15.8~85.0)であった。原疾患はTOFが57例、PA/VSDが17例、DORV/PSが10例、PA/IVSが3例、cTGAが4例、TGAが2例、その他が8例であった。使用された弁はEpicが41例、Magnaが33例、Mosaic Ultraが17例、INSPIRISが5例、Hancock IIが3例、Regentが2例であり、弁輪径は27mmが2例、25mmが36例、23mmが28例、22mmが2例、21mmが28例、19mmが5例であった。心臓MRIは術前81例、術後63例に施行された。治療成績、術前後の右室拡張末期容積指標(RVEDVI)の変化、術後合併症や再弁置換の関連因子について調査した。【結果】早期死亡はなく、遠隔期死亡は1例であった。術後合併症は縦隔炎が2例、IEが2例であった。MRIで術前RVEDVは中央値で150ml/m2(IQR 136.7~167.7)、術後RVEDVIは中央値で96.2 ml/m2(IQR 81.4~105.2)で有意に低下していた。また、再弁置換は12例で、再介入までの期間の中央値は6年(4~19)であった。再弁置換回避率は1,5,10年で100%、96%、88%であった。再弁置換は弁輪径/体重が0.7以上の群で有意に多かった。弁は術後3年で最大速度が増大する傾向にあり、3年後の流速上昇率と再弁置換は有意に関連していた。また再弁置換された弁は術後1週後の流速が速い傾向にあり、特にEpic弁は術後1週後の流速が再弁置換と有意に関連していた。【結語】当院でのPVRの中期遠隔成績は良好であった。体重あたりの弁輪径が大きいほど、再弁置換の可能性は高く、弁の劣化は術後3年後に最も見られる傾向があった。再介入の検討も踏まえると成人施設と連携し、継続的な観察が必要である。