講演情報

[III-P02-2-05]筋性部心室中隔欠損症に対するsandwich法の遠隔成績

清水 春菜, 小谷 恭弘, 徳田 雄平, 倉田 裕次, 岸 良匡, 鈴木 浩之, 小松 宏明, 門脇 幸子, 小林 純子, 黒子 洋介, 笠原 真悟 (岡山大学病院 心臓血管外科)
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キーワード:

心室中隔欠損、sandwich法、multiple muscular VSD

【背景】筋性部に存在する筋性部心室中隔欠損症(multiple muscular VSD;mVSD)に対する閉鎖法としてsandwich法の有用性が報告されているが、その遠隔期成績については明らかでない。【目的】mVSDに対するsandwich法の遠隔期成績を明らかにすること。【方法】1990年1月から2024年6月までのmVSDに対してsandwich法で閉鎖を行った13例(男性31%)を対象とし、カルテデータを後方視的に検討した。評価項目として、遠隔期における残存VSDの有無と再手術介入について検討を行った。【結果】手術時の年齢中央値は1.0(0-2.5)歳。全例右房切開からの三尖弁approachでsandwich法を施行した。併存心内病変は、傍膜性部型心室中隔欠損症を3例(23%)、PFO開存を2例(15%)、心房中隔欠損症を1例(8%)であった。mVSD閉鎖術前に先行手術を行った症例は11例(85%)であり、mPA banding 5/11例(45%) mPA banding+PDA ligation 4/11例(36%)、 大動脈縮窄症根治術後とJatene術後がそれぞれ1例(9%)であった。人工心肺時間は136(110-145)分、大動脈遮断時間は92(64-104)分。術後7.5(5.5-11)日目の、手術と同一入院中に施行した経胸壁心エコーで残存VSDの指摘があった症例は9例(69%)であったが、術後7(0.5-62)ヶ月の経胸壁心エコーで有意な残存VSDを認めた症例は2例(15%)であった。術前エコーでの右室圧は7(5-8)割であったが、術後3割9分(3.5割-5.0割)と低下した(p=0.22)。残存VSDによる再手術介入を要した症例や死亡例は認めなかった。【結論】multiple muscular VSDに対するsandwich法の長期成績は満足できるものであった。術直後には残存VSDの指摘がある症例でも、遠隔期においては残存VSDが消失している症例も多く、心不全徴候などの症状に注意しながら適切な外来フォロー行うことで再手術介入を回避できると考えられた。