講演情報
[III-P02-2-07]我が国における段階的手術での初回姑息手術と次段階到達の実態調査:日本心臓血管外科手術データベースから
○鈴木 昌代1, 小西 隼人1, 勝間田 敬弘1, 平田 康隆2,3, 根本 慎太郎1 (1.大阪医科薬科大学 医学部 外科学講座 胸部外科学教室, 2.国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 心臓血管外科, 3.日本心臓血管外科手術データベース機構)
キーワード:
段階的手術、姑息手術、データベース
【背景】先天性心疾患に対する外科治療は飛躍的に進歩し、欧米を中心に出生早期の一期的修復術が推奨されている。一方医療制度の充実した我が国では患児の身体状況に合わせた姑息手術からの段階的手術が今なお重要な選択肢である。【目的】我が国における初回姑息手術と次段階到達の実態を日本心臓血管外科手術データベース(JCVSD)から明らかにすること。【方法】新型コロナ禍以前の2016年~2019年(4年間)にJCVSDに登録された全手術に対し後方視的に記述統計を実施した。うち初回姑息術の代表的3種(肺動脈絞扼、両側肺動脈絞扼、体肺動脈短絡)、および観察期間内に初回姑息手術から次段階到達症例で件数の多い順の代表的コース5種(両方向性Glenn手術BCPS 548件、ファロー四徴修復TOF-R 365件、Norwood手術Nor 292件、心室中隔欠損孔閉鎖VSD-cl 280件、房室中隔欠損修復AVSD-R 186件)の2つを抽出して解析対象とした。【結果】期間内登録全32,610件のうち、8,604件(26%)に計画的再手術が実施された。初回姑息術3種は3,844件実施された(手術時日齢:中央値30、IQR 12-53)。上記計1,671件の代表的次段階到達5コースのそれぞれの姑息術後からの待機月数の中央値(IQR)は、BCPS 9.7(5-11)、TOF-R 11.5 (6-16)、Nor 1.7 (1-3)、VSD-cl 8.1 (5-11)、そしてAVSD-R 8.9 (6-13)であった。【結論】データベース解析により我が国での代表的初回姑息手術の実施状況と初回姑息術から段階手術到達で頻度の高い代表的コースの経緯を把握すること可能であった。待機間死亡や一期的修復との比較など更なる追加研究が必要であるが、少なくとも段階的手術の計画の目安となる可能性が示唆された。