講演情報

[III-P02-2-10]気管切開を合併した開心術症例の検討

山本 隆平, 正木 祥太, 小坂井 基史, 岡田 典隆, 村山 弘臣 (あいち小児保健医療総合センター 心臓血管外科)
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キーワード:

気管切開後、縦隔炎、開心術

【背景】気管切開術後に開心術を施行する症例は,気道管理の困難さや術後合併症のリスクが増加することが知られている.特に,気管切開部位の感染や縦隔炎が問題となることが多く,これらの合併症の予防と管理は重要な課題である.今回,気管切開術後に胸骨正中切開を伴う開心術を施行した症例を後方視的に考察した.【方法】対象は当院で2019年から2024年までの6年間で気管切開術後に開心術を施行された連続8例.気管切開孔は気切チューブから経口気管チューブに入れ替えた後,絹糸で仮縫合閉鎖,フィルムで被覆し,術野の汚染予防を行った.皮膚切開/胸骨正中切開ともに気切孔との交通を回避するよう最小限に努めた.気管切開からの呼吸管理へは,術後2~4日目に戻した.【結果】手術時年齢中央値:月齢13.5(7-55).体重中央値:7.15kg(4.2-13.2).多発奇形症候群:3例,CHARGE症候群:3例,22q11.2欠失症候群:1例.全例人工心肺を使用し,手術の内訳は,VSD closure:2例,BDG:2例,TCPC:1例,PVO解除:1例.TOF根治術:2例,i-AVSD根治術:1例.術後の縦隔炎:1例.PVOの再狭窄による心不全で1例死亡. 【結論】気管切開術後の開心術においては,適切な気道管理と術前・術後の感染予防策が縦隔炎の発症リスクを低減させる鍵となる.しかしながら,1例において縦隔炎が発生したことから,予防策の徹底が依然として重要であることが示唆された.手術中の細心の注意と術後の早期対応により,縦隔炎の発症リスクを最小限に抑えることが可能であり,これらの対策を徹底することで患者の予後を改善する可能性があると考えられる.