講演情報

[III-P02-3-03]ASDカテーテル治療後に感染性心内膜炎を発症した小児の2症例

田中 敏克, 渡邊 望, 伊藤 啓太, 稲瀬 広樹, 飯田 智恵, 中井 亮佑, 三木 康暢, 久保 慎吾, 亀井 直哉, 小川 禎治, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)
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キーワード:

心房中隔欠損、感染性心内膜炎、カテーテル治療

【はじめに】ASDに対するカテーテル治療は第一選択の治療法として確立しているが、閉鎖栓の脱落、心浸食など、完全房室ブロックなど、外科的処置が必要となる合併症も稀ながら存在する。その中でも頻度は低いが感染性心内膜炎(IE)も重要な合併症の一つである。我々の施設でASDカテーテル治療後にIEを発症した小児2症例を経験したので報告する。【症例1】8歳男児。TEEで欠損孔の最大径は16.7mm、balloon sizingは18.3mmであった。大動脈側のrimが欠損していたため、21mm FF-IIを前方をflareな形態で留置し合併症なく終了し3日後に退院とした。2か月後に発熱し、当院ER受診。TTEで異常を認めず、血液培養採取し帰宅としたが、ブドウ球菌が検出され、TEEで左房ディスクに付着する疣贅を認めたため、準緊急で外科的摘出の方針とした。【症例2】8歳男児。TEEで欠損孔の最大径は17.4mm、balloon sizingは17.9mmであった。大動脈側のrimが欠損していたため、21mm FF-IIを前方をflareな形態で留置し合併症なく終了し3日後に退院とした。1週間後に発熱し、当院ER受診。TTEで異常を認めず、血液培養採取し帰宅としたが、G群溶連菌が検出され、TEEで左房ディスクに付着する疣贅を認めたため、準緊急で外科的摘出の方針とした。【考察】2例において発症時期は異なり、感染経路は不明だが、大動脈側のrimが欠損していたこと、比較的大きめのFF-IIで前方をflareな形態で留置したこと、左房側ディスクに疣贅の付着を認めたことは共通していた。たまたまかもしれないが、前方が開いた形態で留置したことがIEのリスクファクターとなり得るのかもしれない。この2例の経験から、最近は大動脈rim欠損例ではできる限りGCAを選択すること、また、遠隔期のIEの報告も散見されることから、20mm以上のASO、FF-IIを留置した際には12か月アスピリンを内服すること、術後5年間はIEの予防処置を行うことを基本方針としている。