講演情報

[III-P02-3-04]経皮的心房中隔欠損閉鎖術中に完全房室ブロックから1度房室ブロックに移行し留置し得た1例

中野 智, 松尾 悠, 工藤 諒, 西村 和佳乃, 高橋 卓也, 齋藤 寛治, 滝沢 友里恵, 佐藤 啓, 桑田 聖子, 齋木 宏文 (岩手医科大学附属病院小児科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

心房中隔欠損症、カテーテル、完全房室ブロック

【背景】経皮的心房中隔欠損閉鎖術における房室ブロック(AVB)は比較的稀な合併症であり,1~6%程度と報告されている.術中だけでなく術後数日から数週にかけて生じる.今回,術中に完全房室ブロック(CAVB)になるも1°AVBに移行し留置し得た症例を報告する.【症例】14歳,男性.身長 168cm,体重 51kg.小学1年の心臓検診で心雑音を指摘され,近医で心房中隔欠損と診断された.術中TEEで欠損孔最大径は20mmで,バルーンサイジング径は24mmであった.欠損孔はAo rimが0~30°でほとんどなく,その他のrimは十分な距離があった.Figulla Flex 2 24mmを選択しバルーンアシストで留置し,バルーンアシストのワイヤーを抜去した時点でCAVBとなった.血圧低下はなく,60bpmの接合部調律であった.アトロピンの静注は無効でプロタノール負荷を行い心拍数は90bpmに上昇するもAVBは改善しなかったが,留置後30分で1°AVBに改善しデタッチした.術後1日から1°AVBとCAVBになることを繰り返したがステロイドの投与は行わず,術後3日にはCAVBは消失した.経過中AVBによる症状は認めなかった. PR時間は術前168ms,術後1日234msであったが,術後4日に202msと短縮した.術後1週間のPR時間は192msとなり,術後3か月の時点で増悪はない.【考察】経皮的心房中隔欠損閉鎖術における房室ブロックは可逆的であることが多いが慎重な経過観察が必要である.