講演情報

[III-P02-3-07]経皮的心房中隔欠損閉鎖術後閉鎖デバイスの左室拡張能への影響の検討

長元 幸太郎, 北野 正尚, 渡邊 康大, 吉野 佳佑, 西岡 真樹子, 島袋 篤哉 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)
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キーワード:

心房中隔欠損症、経皮的心房中隔欠損閉鎖術、左室拡張能

【背景】ASDデバイス閉鎖(ASDDC)後に左室拡張能が低下する場合があり、デバイスの大きさと拡張能の低下が相関するとの報告が成人症例であるが、まだ明らかではない。閉鎖時のデバイス選択はASDのサイズ、各rim欠損、Valsalvaに対するflared shape留置などを考慮する必要があり、心房中隔に対して相対的に大きなデバイスを選択する場合がある。今回デバイスの種類(DT)およびサイズ(DS)が左室拡張能に与える影響に関して検討した。【方法】2022-2024年に当院でASDDCを施行した54症例(年齢3-73歳(中央値10)、体重12-85kg(中央値39)、女性37例)において、術前から術後1ヶ月、術後3-6ヶ月後におけるE/e’およびe’の値とその変化がDS,DTなどに影響されるか後方視的に検討した。有意p<0.05。【結果】54例における留置DTはASO 12, FF2 16, GCA 26例、(以下平均値) Qp/Qs 2.2、maxASD径 15.7mm、中隔長 33.3mm (20-48)、LA disk径 36.3mm (20-48)と中隔長に対して比較的大きな閉鎖栓が留置されていた。正常値の範囲内ではあるが、E/e’およびe’は術後1ヶ月で増加および減少し、術後3-6ヶ月ではやや改善するが術前値までは回復しなかった(p<0.01);例: e’(Lat.) 前 14.4, 1ヶ月 11.9, 3-6ヶ月 12.1。これらの変化にDTによる差はなかった。術後1ヶ月のE/e’およびe’はLA disk径/中隔長に関連はなかったが、e’は年齢と負の相関関係があった(相関係数-0.37,p 0.02, n 37)。【結論】 症例数は少ないが、中隔長と同径程度の閉鎖栓を用いても、ASDDC後に左室拡張能は僅かに低下する程度であり、デバイスの大きさや種類にはほぼ影響されない。本研究結果は、異なる種類やサイズのデバイスが安全に使用できる可能性を示唆している。