講演情報

[III-P02-4-06]意識消失発作で来院し、肺高血圧症の地域連携を通じて早期治療につなげられた肺動脈性肺高血圧症(PAH)の一例

倉信 大1, 清原 鋼二1, 石井 卓2 (1.東京北医療センター 小児科, 2.東京科学大 小児科)
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キーワード:

肺高血圧症、地域連携、早期診断・早期治療

【はじめに】肺動脈性肺高血圧症(PAH)は予後不良の疾患と考えられてきたが、近年の治療薬の進歩により生命予後は大幅に改善しており、早期発見・早期治療の重要性が増している。今回典型的な症状から心電図、心エコーを施行し、肺高血圧の地域連携を通じて早期診断・治療につながった一例を経験したので報告する。【症例】5歳女児、初診時より2か月前に保育園で階段を上ったあとに意識消失した。失神時に頭部を打撲したため近医を受診し、頭部CTに異常所見はなく、脳震盪として帰宅した。その1週間後に階段を走って上った際に眼球が内転するエピソード、その2か月後にも鬼ごっこやダンスを途中でやめて唇が青くなるエピソードがあり、てんかん疑いとして当院紹介受診となった。受診当日循環器医不在であったが、運動時に繰り返す失神、胸部エックス線での軽度心拡大、心電図上の2誘導P波の先鋭化、右軸偏位、心エコーでの三尖弁逆流所見を認めた。肺高血圧症地域連携講演会を通じて共有されていた情報をもとに肺高血圧症を疑い、肺高血圧症管理が可能な高次医療機関に相談の上、同日搬送となった。同病院で行われた精査の結果特発性PAHと診断され、早期治療が開始となった。【結語】PAHの頻度は稀であるが、早期発見・早期治療により予後が改善するため、PAHを疑うべき症状や所見を見逃さないことと、専門診療が可能な高次医療機関との日頃の連携が重要である。