講演情報
[III-P02-4-07]特発性肺動脈性肺高血圧症に卵巣癌を合併し救命困難だった1例
○松木 惇, 鈴木 康太, 粟野 裕貴, 石黒 想子 (山形大学 医学部 小児科)
キーワード:
IPAH、卵巣癌、PH crisis
【背景】特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)における癌合併時の治療方針は定まっていない。pulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)では、肺高血圧(PH)が急激に悪化することが知られている。
【症例】20歳女性。8歳時に易疲労感が出現し、同年の心臓カテーテル検査で肺動脈圧 55/22/(38) mmHg、肺血管抵抗 8.9 Wood U・m2でIPAHと診断され、ベラプロストナトリウム、タダラフィル、アンブリセンタンの3剤を導入した。12歳時のカテーテル検査で肺動脈圧 72/33/(49) mmHg、肺血管抵抗 10.2 Wood U・m2と増悪あり、エポプロステノールを導入した。19歳時に大学に進学し、同年のカテーテル検査で肺動脈圧 96/37/(53) mmHg、肺血管抵抗 11.3 Wood U・m2と肺高血圧は改善しなかったが、潜在性甲状腺機能異常のためエポプロステノールは43 ng/kg/分で継続した。20歳時に一人暮らしを始めたが学業に伴う過活動が影響し、定期外来時の心エコー図検査で血圧 106/64 mmHgに対し三尖弁逆流圧較差 109 mmHgのoversystemic PHと胸水貯留を認め緊急入院した。入院時の診察で下腹部に腫瘤を触知し、エコーで骨盤部に腫瘤性病変を認めた。単純CTで骨盤部から左下腹部に約15 cmの不均一な濃度の腫瘤と腹水を認め、腹壁下や腹膜に不連続な腫瘤が多発していた。PET-CTでは腫瘍性病変に集積亢進を認め、血液検査でLDHやAFP、hCG上昇を認めたことから、未分化胚細胞腫と卵黄嚢腫の混合型および腹膜播種と推定された。入院後はエポプロステノールを増量し強心薬を導入したが、わずかな体動でも失神を来すPH crisisを反復し侵襲的な検査や治療が困難であり、入院6日目に永眠した。
【結論】PH増悪の要因として、生活習慣の変化や腫瘍による物理的な胸腔圧迫に加えて、腫瘍から産生されるエンドセリンやPTTMも寄与していた可能性がある。癌合併が判明した際は、PHが急激に悪化する可能性があるため速やかな対応が必要である。
【症例】20歳女性。8歳時に易疲労感が出現し、同年の心臓カテーテル検査で肺動脈圧 55/22/(38) mmHg、肺血管抵抗 8.9 Wood U・m2でIPAHと診断され、ベラプロストナトリウム、タダラフィル、アンブリセンタンの3剤を導入した。12歳時のカテーテル検査で肺動脈圧 72/33/(49) mmHg、肺血管抵抗 10.2 Wood U・m2と増悪あり、エポプロステノールを導入した。19歳時に大学に進学し、同年のカテーテル検査で肺動脈圧 96/37/(53) mmHg、肺血管抵抗 11.3 Wood U・m2と肺高血圧は改善しなかったが、潜在性甲状腺機能異常のためエポプロステノールは43 ng/kg/分で継続した。20歳時に一人暮らしを始めたが学業に伴う過活動が影響し、定期外来時の心エコー図検査で血圧 106/64 mmHgに対し三尖弁逆流圧較差 109 mmHgのoversystemic PHと胸水貯留を認め緊急入院した。入院時の診察で下腹部に腫瘤を触知し、エコーで骨盤部に腫瘤性病変を認めた。単純CTで骨盤部から左下腹部に約15 cmの不均一な濃度の腫瘤と腹水を認め、腹壁下や腹膜に不連続な腫瘤が多発していた。PET-CTでは腫瘍性病変に集積亢進を認め、血液検査でLDHやAFP、hCG上昇を認めたことから、未分化胚細胞腫と卵黄嚢腫の混合型および腹膜播種と推定された。入院後はエポプロステノールを増量し強心薬を導入したが、わずかな体動でも失神を来すPH crisisを反復し侵襲的な検査や治療が困難であり、入院6日目に永眠した。
【結論】PH増悪の要因として、生活習慣の変化や腫瘍による物理的な胸腔圧迫に加えて、腫瘍から産生されるエンドセリンやPTTMも寄与していた可能性がある。癌合併が判明した際は、PHが急激に悪化する可能性があるため速やかな対応が必要である。