講演情報

[III-P02-4-10]先天性門脈体循環シャント(CPSS)の治療によりチアノーゼが改善した18テトラソミーの一例

柏木 孝介1, 千阪 俊行1,2, 宮田 豊寿1, 前澤 身江子1, 赤澤 祐介3, 太田 雅明1,2, 檜垣 高史1,4 (1.愛媛大学大学院医学系研究科・小児科学講座, 2.愛媛大学大学院地域小児保健医療学講座, 3.愛媛大学大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・高血圧・腎臓内科, 4.愛媛大学大学院医学系研究科地域小児・周産期学講座)
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キーワード:

肺動静脈瘻、先天性門脈体循環シャント、18テトラソミー

【症例】当科初診時6歳の男児。在胎40週5日、体重3202g、仮死なく出生したが、哺乳不良のため総合病院に転院し、停留精巣、両側難聴、内反足を認め、染色体検査で18テトラソミーと診断された。6歳時、全身麻酔下での歯科治療目的に当院麻酔科を受診した際、SpO284%で顔色不良や易疲労感があり、当科に精査目的に紹介された。【既往歴】2歳時に停留精巣の固定術を施行。チアノーゼの既往なし。発達遅滞、尿道下裂、高度側弯あり。【身体所見】身長102.1cm、 体重14.9kg、皮膚色はやや蒼白【検査所見】総胆汁酸 67.1μmol/L、 NH3114μg/dl、 Mn5.0μg/dlと上昇を認めた。7歳時、肺血流シンチ検査で両側腎臓、脳が描出されシャント率は28.51%であった。カテーテル検査では平均肺動脈圧11mmHg、平均肺動脈楔入圧5mmHg、左心室のsO2は89%、Qpは5.92L/min/m2、Rpは0.845unit/m2であった。コントラストエコ―検査は両肺ともにgrade3で、肺動脈造影では速やかに左心系が描出された。シャント造影で門脈と左腎静脈に交通する異常血管を認めた。【経過】門脈左腎静脈における先天性門脈体循環シャント(CPSS)による肺動静脈瘻と診断し、9歳時に腹腔鏡下血管結紮術を施行した。門脈圧をモニタリングしながら行い、門脈圧は4mmHgから9mmHgへの上昇にとどまった。術後3か月でSpO2:97%に改善し、術後8か月の肺血流シンチでは左腎のわずかな描出のみで右側腎は描出されなくなり、シャント率も9.5%と改善していた。また、総胆汁酸3.7μmol/L、 NH334μg/dl、 Mn1.7μg/dlと正常化しており、シャント血流は減少もしくは消失したものと考えられた。【結語】原因不明の低酸素血症の鑑別時にはCPSSを念頭におき全身精査および介入することが重要である。また、CPSS閉鎖により、肺動静脈瘻は改善する可能性がある。