講演情報
[III-P02-5-01]注意欠如多動性障害(ADHD)治療薬が不整脈の経過に影響を与えた2例
○倉信 大1, 清原 鋼二1, 石井 卓2 (1.東京北医療センター 小児科, 2.東京科学大学 小児科)
キーワード:
ADHD治療薬、QT延長、PVC
【はじめに】注意欠如多動性障害(ADHD)治療薬には循環器系への影響を及ぼすことも知られている。今回我々はADHD治療薬が不整脈の経過に影響を与えたと考えられた2例を経験したので報告する。【症例】症例1、8歳男児、X年3月に落ち着きのなさを指摘されて当院神経科初診、メチルフェニデートの頓服開始となる。X+1年5月学校心臓検診でQT延長を指摘されて当科紹介受診、QTc 468msec、学校管理指導表でE可、飛び込み、潜水禁止として経過観察開始となり、以後QTcは440msec-460msec程度で経過した。X+3年7月からメチルフェニデート連日内服開始となる。X+4年3月に当科フォローでQTc 512msecと著明に延長しており高次医療機関に紹介、遺伝子検査の結果LQT3と診断されbisoprololの内服開始となった。症例2、6歳男児、小学校1年生の学校心臓検診でPVCを指摘されて当院紹介受診。運動負荷で消失し、単源性だが、ホルター心電図では総心拍数の31.8%のPVCを認め、frequent PVCの診断で経過観察とした。一方で小学校入学後より書字の困難さがあり、学習障害の疑いとして当院神経科受診、精査の結果、不器用や不注意に対して、ADHDの治療薬であるグアンファシンの内服開始となった。内服開始1か月後に当科経過フォローしたところPVCが消失、ホルター心電図でも1発/日とほぼ消失していた。【考察】症例1はADHD治療薬によりQT延長が顕在化したことでLQT3の診断にいたった。症例2ではPVCとADHD治療薬との関連した報告はみられなかったがグアンファシンにはα2Aアドレナリン受容体刺激に起因する交感神経の抑制作用があり、何らかの影響を与えた可能性はある。【結語】ADHD治療薬は循環器系の影響を及ぼすこともあり、神経科の医師ともよく相談・協力して治療をすすめていく必要がある。