講演情報

[III-P02-5-03]7日間ホルター心電図が発作性上室性頻拍の検出に有効であったWPW症候群の幼児

藤堂 晃大, 轉馬 珠美, 竹田 義克, 藤田 修平 (富山県立中央病院 小児科)
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キーワード:

WPW、7日間ホルター、PSVT

はじめに:7日間ホルター心電図は不整脈の検出率が24時間ホルター心電図では30%だったものに比べて90%まで上昇し検出率に優れる。症例:2歳4ヶ月女児。1歳8ヶ月時、感冒時に近医を受診時に心拍数200bpmを超える頻脈であったが、発熱による影響と判断され経過観察となった。解熱後も安静時に心拍数200bpmを超える頻脈であったが、自覚症状や心不全症状はなく後日精査目的に紹介となった。当院受診時は心拍数120bpmで頻脈はなく、身体所見上は異常所見を認めなかった。12誘導心電図は洞調律でありデルタ波は認めなかった。胸部レントゲンで心拡大はなく、心エコー図検査で解剖学的な異常や心機能低下はなかった。24時間ホルター心電図で間欠的なデルタ波の出現を認めintermittent WPW症候群であった。頻脈時の心電図を捉えることはできておらず、心機能低下や心不全徴候もないため経過観察とした。2歳2ヶ月時に12誘導心電図でPR0.08秒と短縮を認め、胸部誘導でV1のデルタ波が上向きで、rS型を呈するB型WPW症候群を認めた。母親より夜間に時々、患児の頸動脈の拍動が目立つことがあるとの訴えがあり、頻脈の評価のため7日間ホルター心電図を行った。施行中に発熱があり、その際突然心拍数が250bpmまで増加するShort RP’ narrow QRS頻拍が記録された。発作性上室頻拍は3日間続いたが、自然に停止しており、デルタ波も認めていることから房室回帰性頻拍と考えられた。発熱時に頻脈はあったものの自覚症状や心不全症状がなかったため、頻脈時には当院を受診しなかった。再診時の心エコー図検査では左室駆出率52%と軽度左室収縮能が低下を認めた。自覚症状に乏しく、頻拍が長時間持続しており不整脈誘発性心筋症のリスクも考慮し、頻拍発作予防としてフレカイニドの内服を開始した。その後発作性上室頻拍の再燃なく経過している。結語:自覚症状の訴えに乏しい乳幼児の発作性上室頻拍の検出に7日間ホルター心電図は有効である。