講演情報

[III-P03-1-01]ワンヘルスチームAzOHの活動について

宮本 隆司1,2, 青木 卓磨2, 岩崎 健太郎2, 深町 直之3, 下田 隼人3 (1.社会福祉法人児玉新生会 児玉経堂病院, 2.麻布大学獣医学科小動物外科, 3.群馬県立小児医療センター臨床工学課)
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キーワード:

AzOH、ワンヘルス、医獣医療連携

【目的】ワンワールド・ワンヘルス(世界は一つ,健康は一つ)という理念は、人や動物の命を救うために最適な医療や生活環境の構築を目指して、地域、国、そして世界の複数分野で協力し合うというプロジェクトである。今回、医師・獣医師たちが全力を注いで犬・猫の心臓病に立ち向かっているチームAzOH(Azabu one health team)の活動について報告する。【対象と方法】麻布大学獣医学科小動物外科学研究室では、2020年8月より心臓血管外科専門医と体外循環技術認定士を招請してAzOHを発足し2024年12月までに35症例の開心術を実施。犬33例の手術時年齢は8.3±3.8歳、体重は6.1±6.5kg。手術内容は僧帽弁形成術(ル-プ6対+DeVega法)24例;(僧帽弁閉鎖不全症心不全stage B2;9例、stage C;13例、stage D;2例)、右室流出路拡大術4例、V S D閉鎖術3例、肺動脈形成術1例、Morrow手術1例、Cone手術1例。猫2例の手術時年齢は1.3±0.5歳、体重は4.5±0.2kg。手術内容はASD閉鎖1例、VSD閉鎖1例。症例の一部をビデオにて供覧する。【結果】僧帽弁形成術24症例中手術死亡3例(ARDS、心筋梗塞、脳出血)、在院死亡例4例(感染性心内膜炎、脳梗塞、出血性ショック)。死亡例と生存例の年齢(9.9±2.4 vs 9.9±2.6歳)、体重(4.9±2.8 vs 3.5±1.1kg)、人工心肺時間(191±53 vs 215±80分)、大動脈遮断時間(70±19 vs 84±32分)に有意差は無かった。生存例の術前と術後3ヶ月の心エコーでは左心房径(24.0±4.4 vs 19.3±4.2; p<0.05)、左室拡張期容量(32.1±5.9 vs 24.7±5.8; p<0.05)にて有意な改善が認められた。僧帽弁形成術以外の11症例では、乳糜胸、胸水貯留、腎機能障害などの術後合併症が認められたが死亡症例はなかった。【考察】 ワンヘルスチームの活動は犬・猫の高難度心臓手術を実施可能とした。更なる手術成績向上を目指して、医師と獣医師のコラボレーションは、今後もっと重要になると思われた。