講演情報
[III-P03-1-04]総肺静脈還流異常症に大動脈縮窄症を合併した4例の臨床的検討
○矢内 敦1, 池川 健1, 加藤 昭生1, 若宮 卓也1, 小野 晋1, 柳 貞光1, 角谷 莉沙2, 古川 夕里香2, 橘 剛2, 上田 秀明1 (1.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 2.神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)
キーワード:
total anomalous pulmonary venous connection、coarctation of the aorta、congenital heart disease
【背景】
総肺静脈還流異常症と大動脈縮窄症の合併は稀で, 海外の報告では総肺静脈還流異常症全体の1.4%とされる. 我々は, 高度な肺静脈狭窄を伴う総肺静脈還流異常症に大動脈縮窄症を合併した症例に対して, 生後早期の二心室修復術により生存し得た一例を経験した. 過去の症例と比較しながら治療戦略について考察する.
【症例】
生存例:38週0日, 2,617g. 総肺静脈還流異常症(Ιb), 大動脈縮窄症, 左室低形成. 生直後より肺静脈狭窄による肺うっ血が進行し, 日齢0に総肺静脈還流異常症修復術+拡大大動脈弓吻合術+心房中隔欠損縮小術を施行. 術後は乳び胸水, 肺高血圧症に対して長期に内科的管理を要したが, 月齢4に退院.
死亡例1:38週3日, 2,086g. 2qモノソミー, 9pモノソミー. 総肺静脈還流異常症(Ιa+b), 大動脈縮窄症. 高肺血流の進行があり, 日齢2に両側肺動脈絞扼術を施行. 術後から左室の縮小が目立つようになり, 日齢24に総肺静脈還流異常症修復術+拡大大動脈弓吻合術を施行. 左心不全, 肺出血のために術翌日に死亡.
死亡例2:35週4日, 1,321g. 総肺静脈還流異常症(ΙΙΙ), 大動脈縮窄症. 日齢1に総肺静脈還流異常症修復術+拡大大動脈弓吻合術を施行. 術中に頭蓋内出血(grade3)を発症. 術後に肺静脈狭窄, 肺高血圧の進行があり緩和治療へ移行. 月齢3に死亡.
死亡例3:37週4日, 2,139g. 総肺静脈還流異常症(ΙΙΙ), 大動脈縮窄症, 左室低形成. 高度な肺静脈狭窄, 肺高血圧症があり, 無治療緩和を選択. 月齢1に死亡.
【考察】
総肺静脈還流異常症と大動脈縮窄症の合併例のうち, 生存例は1例のみで, 2例は外科的介入を行うも死亡し, 1例は無治療緩和を選択した. 生存例では, 心房中隔欠損縮小術により左室の成長が得られたことで二心室修復が成立したと推察される.
【結語】
心房中隔欠損縮小術は, 総肺静脈還流異常症に大動脈縮窄症を合併した重症例への治療戦略として有効な可能性がある.
総肺静脈還流異常症と大動脈縮窄症の合併は稀で, 海外の報告では総肺静脈還流異常症全体の1.4%とされる. 我々は, 高度な肺静脈狭窄を伴う総肺静脈還流異常症に大動脈縮窄症を合併した症例に対して, 生後早期の二心室修復術により生存し得た一例を経験した. 過去の症例と比較しながら治療戦略について考察する.
【症例】
生存例:38週0日, 2,617g. 総肺静脈還流異常症(Ιb), 大動脈縮窄症, 左室低形成. 生直後より肺静脈狭窄による肺うっ血が進行し, 日齢0に総肺静脈還流異常症修復術+拡大大動脈弓吻合術+心房中隔欠損縮小術を施行. 術後は乳び胸水, 肺高血圧症に対して長期に内科的管理を要したが, 月齢4に退院.
死亡例1:38週3日, 2,086g. 2qモノソミー, 9pモノソミー. 総肺静脈還流異常症(Ιa+b), 大動脈縮窄症. 高肺血流の進行があり, 日齢2に両側肺動脈絞扼術を施行. 術後から左室の縮小が目立つようになり, 日齢24に総肺静脈還流異常症修復術+拡大大動脈弓吻合術を施行. 左心不全, 肺出血のために術翌日に死亡.
死亡例2:35週4日, 1,321g. 総肺静脈還流異常症(ΙΙΙ), 大動脈縮窄症. 日齢1に総肺静脈還流異常症修復術+拡大大動脈弓吻合術を施行. 術中に頭蓋内出血(grade3)を発症. 術後に肺静脈狭窄, 肺高血圧の進行があり緩和治療へ移行. 月齢3に死亡.
死亡例3:37週4日, 2,139g. 総肺静脈還流異常症(ΙΙΙ), 大動脈縮窄症, 左室低形成. 高度な肺静脈狭窄, 肺高血圧症があり, 無治療緩和を選択. 月齢1に死亡.
【考察】
総肺静脈還流異常症と大動脈縮窄症の合併例のうち, 生存例は1例のみで, 2例は外科的介入を行うも死亡し, 1例は無治療緩和を選択した. 生存例では, 心房中隔欠損縮小術により左室の成長が得られたことで二心室修復が成立したと推察される.
【結語】
心房中隔欠損縮小術は, 総肺静脈還流異常症に大動脈縮窄症を合併した重症例への治療戦略として有効な可能性がある.