講演情報
[III-P03-1-05]右上大静脈左房還流を伴う部分肺静脈還流異常症に対する手術症例
○元野 壮, 芳村 直樹, 青木 正哉, 鳥塚 大介 (富山大学 医学部 第一外科)
キーワード:
部分肺静脈還流異常症、心房中隔欠損症、右上大静脈左房還流
【症例】18歳女性。学校検診で初めて心雑音を指摘され、精査で右上大静脈(RSVC)左房還流を伴う静脈洞型心房中隔欠損症(SVASD)、部分肺静脈還流異常症(PAPVR)、左上大静脈遺残(PLSVC)と診断された。血行動態的に著明なチアノーゼは来さないものの、右心系容量負荷所見や血栓症のリスクを鑑み手術適応と判断された。【手術・結果】SVASDパッチ閉鎖、RSVC-右心耳吻合(前壁をパッチ拡大)からなるWarden変法を施行した。術後1日目に抜管、吻合部狭窄や不整脈等の合併症無く術後12日目に自宅退院した。【考察・結語】Van Praaghらの仮説によると、PAPVRとSVASDは本質的に同一の機序で形成され、RSVCの異常還流も同様に説明可能であるとされるが、本症例における解剖学的特徴はこの仮説を裏付けるものであると考える。裸眼3Dモニターを用いたCT画像評価による正確な解剖の把握が術式の選択の一助になったほか、これらの還流異常の発生の機序を視覚的に理解することが可能であった。